90年代広東省広州の遊園地での出来事です。当時、広州からは深圳まで足を伸ばせば、かなり大規模な有名な遊園地が多数あったので、何度も行きました。ある日、広州市内にも車で日帰りで行ける便利な遊園地ができたよと、駐在員仲間より紹介をされた「長隆歓楽世界」に家族を連れて行ってみた時の体験です。
ここはまだ開園して間もない新しい施設でした。どんな遊具・施設が有ったのか今ではほとんど覚えていません。子供が”自転車”に乗っていたような記憶があります。当時わたしの息子は日本人学校小学一年生、娘はオイスカ幼稚園に通っていました。
わたし達夫婦はアトラクションは覚えていませんが、何故かとてもよくこの遊園地のことを記憶に留めています。
遊園地のゲートで入場券を購入したところ、半券に「ランチバイキング付」とありました。日本の遊園地でこのサービスがあれば、確実にとても嬉しいと思います。かみさんも「食事付、うれしいねぇ」と言っていた様な気がします。しかし、当時の中国事情に詳しくなり始めていたわたしは、少し嫌な予感がしました。
こんなにたくさんの家族連れの来場者がいるのに、昼飯時のレストランでバイキングスタイルの食事をすることが本当に可能なのかという素朴な疑問がすぐ頭に浮かびました。
この不安はお昼に見事的中しました。12:00前後のピークを避けて、用心して11:00過ぎ頃のかなり早目の時間帯を狙い、レストランに行きましたが、既にお客で満席でした。何とか自分たちの席を確保して、ようやく料理の列に並びました。
ところが厨房から大きなお皿で次々に料理が運ばれて来るのですが、どの料理も瞬時に客に取り尽くされてしまいます。大皿料理がテーブルに置かれた瞬間、あっという間に黒山の人だかりとなり、取り尽くされてしまい、わたしたち日本人の根性では、生存競争の激しい中国人社会では、料理になかなか手を伸ばせそうにありませんでした。
「同じ料理をそんなにたくさん取って本当に食べられるのか?」と聞きたくなりました。どの客も一皿に山盛りにして自分の席に持ち帰っていました。自分のテーブルの上一面に山盛りの料理皿が所狭しと並べられています。いっそ、大皿そのものを自分のテーブルに運べば早いのにと思われる様な異様な光景に唖然とするしかありません。
取った料理が「戦利品」の様に山盛りになっていてかなり壮観です。バイキング、ビュッフェ方式というのをそもそも勘違いしているのではないかと思いました。通常小皿に少しだけ盛り付けて、もっと食べたければ何度でも取りに行けば良いのにと思うのですが、、、食事が終わり帰る際には、食べ残された無残な食材が大量に廃棄されるのだと思います。
わたしの子供たちは大変腹を空かしているので、必死に取ろうとしますが、中国人パワーに圧倒され、生存競争の激しいこのレストランでは、とても料理の「分捕り」合戦に勝利することはできませんでした。
また、アラカルトを注文できる窓口もなく、空腹を抱える子供たちにひもじい思いをさせてしまい、とても苦い思い出となりました。
つい最近HPで確認したところ、この「長隆歓楽世界」という遊園地は今でも営業を継続している様です。以前の「ランチブッフェ」のサービス、マナーがもう少し改善されている事を願います。
2,3年前の中国出張中のホテル内でもいまだに朝食ブッフェで、見る光景がこの料理のてんこ盛りです。美味しい料理もお皿一杯に盛られて出されると、食欲は減退するものです。しかし、それは日本人だけの感じ方の様です。食べきれないと判っていても、とにかくテーブルに乗り切らない程の料理を確保してから、みんなで食べ始めるという国民性なのでしょう。この点は今後、少し改めて欲しいと感じました。
別のプールのある「水上遊楽園」に出掛けた時の事です。流れるプールとウォータースライダーがメインで大変人気のある施設でした。問題はウォータースライダーです。日本国内では余り見かけない高低差、長いスロープのある壮大なスケールの大規模ウォータースライダーが売り物のようでした。
スライダーの途中に二か所短い踊り場が設定されており、スピードを緩める工夫がされています。大量の水流と共に急勾配の為、加速が付き過ぎ、2か所の踊り場でバランスを崩すと隣のレーンの敷居を飛び越えて他のレーンに入ってきてしまうというびっくり仰天スライダーでした。
滑り初めは誰も前に居なかった自分のレーンに、いつの間にか目の前に他のレーンからジャンプして飛び込んで来た人が滑っていることがありました。これでは、ほぼ同時に着水した場合、前を滑る人に体当たりしてしまい、大変な事になると慌てていたところ、今度は自分自身の80㌔超あった体が、抵抗空しく、いとも簡単に浮かび上がり、他レーンに吹っ飛ばされた時は更にびっくり仰天しました。
スライダー中でトビウオの様に大人も子供もレーン間をピョオンピョン左右に移動して飛び跳ねているのが見えました。わたしの経験では世界一「刺激的」で物凄く「愉しい」ウォータースライダーであることに間違いありませんが、脱線転覆スライダーは怖くなり一度だけ滑ってその後滑るのは止めておきました。
コメント