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ケニヤ・ナイロビ マーサイ・マーラ国立保護区、魅惑の週末!

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旅の随筆
TeeFarmによるPixabayからの画像
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大変な数の野生のシマウマ
象の大家族 みんなで小象を守っています
こちらは一頭のはぐれ象 少し怖い!
すれ違ったツアーの車両
キリン
弱肉強食の現実世界
昼寝中のメスのライオン
マサイ族
ジャンプしたマサイ族

1990年9月アフリカに(出張)旅行に行きました。目的地は南アフリカとケニヤの二か国でした。先にヨハネスブルグ、2か所目がナイロビでした。アフリカ出張は今回初めだった事もあり、また、全く土地勘がありませんでしたが、通常の出張と同じく日本から単独の旅行だったので少し緊張しました。ロンドン経由のブリティッシュ・エア便を利用した為、24時間という結構長いフライト時間を要しました。

ナイロビには金曜日に到着したので、月曜日の次の客先との面談時間まで土曜・日曜の二日間の予定は、現地スタッフとの事前打ち合わせ以外ありませんでした。

金曜日の晩、ナイロビ支店長社宅に招かれ、他部門のケニヤ出張者ら数名と会食・歓談を愉しむことが出来ました。驚いたのは、アフリカでも日本食が提供されており、それもマグロの大トロの刺身の舟盛が大盤振る舞い、度肝を抜かれました。事情を聞くと、ケニヤに比較的近いアフリカ東側の島国モーリシャスではマグロが大量に陸揚げされ、大規模ツナ缶工場があると聞きました。

当時のM商事ナイロビ支店のS支店長は、小説「炎熱商人」などの作家深田祐介氏がアフリカの商社マンの物語も描いた小説の主人公のモデルにもなった方で、アフリカでは相当有名な支店長として広く知られていました。ケニヤと日本との貿易の発展に尽力されているだけではなく、文化交流にも深く関わり、特にご自分も得意とされる柔道をケニヤに普及されている話を聞かせて頂きました。

支店長は、歓談中しきりに外部に電話を掛けて、なにやら連絡を取られていました。話の内容はビジネスとはあまり関係無く、乾季の為、飲み水を求めて草原の動物が大移動している情報収集をしている事がわかりました。電話口では「なに! 象の群れが2000頭、xxxを目指して、時速何キロで大移動している!?」「そっちはキリンの群れが...!?」支店長はわたしの顔見るなり、興奮した真剣な顔つきで「加藤、xxx行のフライトチケットは買ったのか?」「土日どうせ暇なんだから、早くチケット買って、行って見て来い!凄いことになっているぞ。」と叫んでいました。

初めて聞くxxx国立動物保護区飛行場の名前でした。支店長の口調から何か飛んでもないことが起きているらしい雰囲気は察知できたのですが、わたしは今回、象やキリンを見る為にケニヤに来た訳ではないので、残念ながら指定された場所へ出掛ける事は無理だと説明し、丁重にお断りしました。

すると、支店長は、別の出張者(実はエジプトのカイロ駐在員夫婦が休暇を取得し、ナイロビを訪問中でした)に向かって「おいH! 加藤は土日は暇そうだから、“マーサイ・マーラ”(国立保護区)へ一緒に連れてってやれ!」と言われました。

その後、知ったのですが、カイロ駐在員H夫妻はカイロ赴任直前に慌ただしく日本で見合い結婚され、ご主人の赴任後、暫くしてから奥さんがカイロに着任され、最近カイロで目出度く新婚生活を始めたばかりという事がわかりました。それに、今回のナイロビ旅行がハネムーンであったと知らされました。支店長のとんでもない“粋?”な計らいで、結局、私は同じ社内でも、全く今まで面識の無かったH先輩駐在員のハネムーン旅行に、恥も外聞もなく、お邪魔虫として同行させて頂くことになってしまったのです。

※マーサイ・マーラ国立保護区はケニア南西部・タンザニアとの国境沿いにある野生王国、野生動物数はケニヤ随一の地区です。

翌日、運転手付きの四輪駆動車に乗り、予定通り3人でマーサイ・マーラに向け出発しました。わたしにとっては、海外出張中の予定外の動物保護区訪問です。まったく前知識なく、心の準備もなかったのですが、お陰様で生涯で、とても深い印象を残す事になる貴重な2日間の体験をさせて頂く事になりました。

自然の中で悠々と生きるライオン、シマウマを急襲しているチーター、家族で小象を守りながら移動する象、群れの中程に子供のキリンを保護しながら移動するキリンの大所帯、物凄い数のシマウマ、馬鹿でかいカバ、ヌー、ガゼル、インパラ等々生き生きとした野生動物の姿を目の前で観察出来る、野生王国の風景には感動しました。

また、マサイ族は盾と槍を持って歩いていました。車の中にいる限り、生命の危険は感じませんが、車外に出るのは極めて危険だと察知できました。マサイ族の盾と槍一本持ち大自然の中を悠々と歩いている雄姿は、正に”マサイの戦士”然としており本当に感動ものでした。

何と言っても、サハリツアーの重要な目的の一つはライオンの群れを見つけることでした。草原で行き交う四輪駆動車の運転手同士は、車がすれ違う度に止めて、ライオンはどっちに居そうだという情報交換をしている様に思われました。

また、人間も本能的にライオンの存在を察知するような生まれつき持った触覚を備えている気がしました。ライオンの群れの近くに来ると、ライオンの姿はまだ見えないうちに、他の場所と違うただならぬ緊張感を感じました。車はスピードを緩め、ゆっくり近づくと、茂みの中で気が抜ける程のんびりとしているライオンの家族の群れに遭遇しました。ライオンは近づく車を見ても知らんぷりでした。この世に天敵なぞ、まったくいないという優雅な素振りに見えました。

緊張感に満ち溢れるサファリツアーを終えて、その晩の宿泊ホテルに到着しました。そこは、草原の真っただ中ですが、頑丈な金網で周囲を保護されて野生動物の侵入は防がれていました。野生の猿等小動物は金網の下を潜り抜け、自由に出入りで来るようでした。遠くに雪を抱くキリマンジャロ(標高5895㍍)を望む絶好の立地で、屋外プールにはキリマンジャロの雪解け水が満たされていました。プールサイドのデッキチェアにご夫婦とわたしの三人が腰かけ、わたしは先輩から借りた海水パンツを履いていました。サバンナの水辺に集まる野生動物たちを眺める事もできました。

夕食が終わると、ホテル内の特設スタジオでマサイ族の踊りが披露されました。天井からぶら下げられた長い瓢箪!?のようなものに、マサイ族がジャンプして頭でヘッディングをしているだけの単純なリズミカルな“踊り”ですが、その跳躍力は驚異的に1㍍を楽々超えていたのでびっくり仰天でした。

彼らが帰る際「ジャンボー」と挨拶し握手すると、物凄く柔らかい白い掌に驚きました。

野生動物は「動物園」で見るものとばかり思っていましたが、機会があれば、是非野生王国の自然の動物の姿を観察することをおすすめします。童心に戻って一生忘れられない思い出になる事は間違いありません。

最後に、あの時は折角の記念すべきハネムーン旅行に、知らずに押しかけたとは言え、文句ひとつ言われることなく黙って受け入れて頂きましたH先輩、大変お世話になりました。

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