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ある商社マンの忙しい週末(出張)旅行/鳥取・大山登山の思い出

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旅の随筆
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翌週にクレーム処理の為の憂鬱な韓国出張を控えていた週のある日、突然課長に呼び出され、「鳥取に国内出張に行ってもらいたい」「ところで、君は、ゴルフはやるのか?」という質問を受けました。当時、海外輸出を担当していた為、国内出張の機会はほとんど無く、時々来日される海外顧客をアテンドして、製鉄所の見学や、京都、日光などの観光地案内の経験はありました。しかし、鳥取と聞いて何の事か分からず、また、ゴルフと何の関係があるのか、まったく見当がつきませんでした。

「H金属安来工場の、工場見学勉強会と懇親会、翌日親睦ゴルフコンペがあるので参加してもらいたい。行かれる予定だった部長の出張が急遽キャンセルになった。替わりに行ってもらう」と言われ、思い掛けず、鳥取出張のお鉢が回って来たようでした。H金属の担当者は他にいましたが、東京から遠いので勉強会参加を敬遠していたのでした。

2泊3日分の国内出張用の身の回り品に加え、ゴルフキャディバッグ、ゴルフシューズ等でたいへん手荷物が膨れ上がりました。(もう少し前広に参加することが決まっていれば、宅急便で送れたはずでした。なお、今ではレンタルクラブという発想もありますが、当時は全く考えもしませんでした)更に、この機会に鳥取県内の日本百名山である『大山』にも、是非登ってみたいという考えが浮かび、登山靴・登山用のザックもカバンに忍ばせました。

となると、木曜日の晩、飛行機で東京から鳥取に飛び前夜泊、金曜日研修会に出席、晩に懇親会に参加し、土曜日朝からゴルフコンペ出場、終了後その日の内に大山山麓大山寺近くの旅館に移動し、日曜日大山登山。下山後その日は東京には戻らず、鳥取から鉄道で福岡まで移動し、フェリーで韓国プサンに上陸、その晩プサン泊。月曜日にプサンのユーザーを訪問するという超過密スケジュールとなりました。なんとか頑張れば問題無くこなせるのではないかと考えていました。

ゴルフキャディバッグに登山靴、国内外出張の身の回り品など合わせて、大変な荷物を持って出発することになりました。仕事なのか、遊びなのか良く分からない出張となってしましました。家族は出張荷物を見て随分驚いていました。

研修会では鳥取県安来は日本古来の『たたら』の技術を引き継いでいるという事を知りました。また、ゴルフのプロ競技も開催される名門・大山平原ゴルフコースで、精一杯ゴルフの腕を振るいましたが、当時の腕前では100は切れなかったと思います。

大山(弥山)標高1709㍍(大山最高峰1729㍍は崩壊が激しくて登頂は困難との事でした)登山口からの標高差は940㍍近くあり、且つ、6合目付近から8合目までとてつもない急峻なガレ場の急登を強いられた記憶があります。その時は関東在住の人間にとって大山はかなりの遠隔地であり、登る機会はめったにありません。千載一遇のチャンスを活用出来て本当に良かったと喜びました。何年か後に縁があり、広島の中国支社に転勤なったのですから、後から考えればそんなに無理をしてまで、その時登らなくてもよかったかなとは思いました。

当時はスマホなどという便利な情報手段も無く、よくもまあ大山からプサンまでスムースに移動出来たものだと自分ながら感心しています。

韓国には以前何回か出張していましたが、プサン入りは初めての経験でした。夕食をひとりで食べる為ホテルから抜け出て、繁華街を歩いていたところ、「参鶏湯」の専門店がずらり立ち並ぶ一筋の通りに出ました。参鶏湯の漢字が並んでいたので、すぐわかりました。どの店の軒先にも同じように七輪に乗せられた参鶏湯の鍋が並べられていました。値段を見ると当時のレートで日本円500円程度でした。

ある一軒に目星をつけると、店内に通されました。席に座ると注文も取らず、熱々に煮えたぎる『参鶏湯』が早速運ばれてきました。オムニが手際よく丸ごと一羽の鶏を、食べやすい大きさに切り分けてくれました。偶然に探し当てた参鶏湯通りとは言え、冬場にはうってつけの一品でした。かなりの美味しさと安さにびっくり仰天しました。

しかしながら、ここまで、極めて順調に進んで来た超過密スケジュールの今回の「旅」も最大の関門が待ち受けていました。本来であれば冷静に考えると、絶対に手を出す事はない筈なのです。参鶏湯を食べた後、さらに歩いていると屋台で生ガキを売っているが店が目に入り、ついうっかり殻付きのぷりぷりの牡蠣を2,3個注文して、その場で食べてしまったのです。

学生時代は札幌で、会社に入り東京でもありとあらゆるところで『牡蠣』の毒に当たり、幾度となく痛い目にあっているのですが、まったく懲りず、牡蠣の魅力に勝てず、ついつい手を出したのが運のツキでした。

翌朝客との面談前に、腹の具合が悪くなりました。(牡蠣毒は即座に腹痛を伴う事もあれば、翌々日に発熱し風邪を引いたのか区別が付かない症状も経験しています)約束時間に遅れるわけにも行かず、面談はしました。ユーザーは品質クレームでかなり怒っている様子だったのは覚えていますが、こちらは、それどころではなく腹痛を我慢して、じっと席に座り、先方のクレームの申し立てと腹痛に耐える二重の苦しみに、苦渋の顔をして耐え忍び、ホウホウの態で退散を余儀なくされました。

自己管理がしっかりしていないとお叱りを受けそうです。むちゃくちゃな商社マンもいたものです。

 

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