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貴州省遵義行きカラオケ列車のことなど 旅の思い出

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旅の随筆
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1995年頃わたしは日本からの出張でミッション一行と貴州省貴陽市から夜行列車に乗り込み、遵義の会社を訪問しました。出張者は総勢日本人8名の大グループでした。中国企業の訪問団受け入れ窓口の手配で、夜行列車での移動が退屈にならない様にとの温かい配慮から、未だかつて乗った事も、聞いたこともない「カラオケ車輛」の座席が予約されていました。

 

女性の車掌はカラオケが根っから好きなのか、それとも業務上仕方なく歌わされているのか良くわかりませんが、いきなり景気よく2,3曲連続して歌い始め口火を切ったところ、次から次へと乗り合わせた中国人乗客が得意なカラオケ曲をリクエストし、一晩中徹夜で歌いまくる車輛となりました。何故かアルコールの提供は無く、お茶を飲みながら歌っていた様でした。

 

暫くは興味本位で聞いていたものの、その内、さすがに真夜中になると眠くなってきましたが、元気な歌声とけたたましい大音響の音楽が流れる車両の中では寝る事もままならず、とうとうカラオケの歌声・音楽が聞こえてこない別の車輛に席を移動せざるを得ませんでした。

 

夜行列車では珍しく(わたしの経験では昼夜に関わらず、当時の中国の列車は、常にすし詰めで走るものという固定概念がありました)、カラオケの音が聞こえてこない車両には空席が目立つものの、長椅子に上体を投げ出し熟睡している客が多く、適当な空席がなかなか見つかりませんでした。

 

どうにかこうにか席を確保して硬い椅子の肘掛を枕に寝ようとしましたが、今度は前の席の乗客の脚がこちらに伸びて来て、靴を脱いだ強烈な靴下の臭いに閉口しました。また、当時は禁煙車輛など無く、たばこの煙の匂いもシートにこびり付いていました。

 

中国人は靴下を洗う習慣が無いのか、そもそも風呂に入らないのではないかと疑ったものです。
とてつもないカラオケの音響の響き渡る車輛で我慢して一夜を明かすか、硬座(二等席のハードシート)で煙草の油煙・靴下の匂いの充満する車両の悪臭に耐えて寝るか究極の選擇を迫られました。

 

貴州省の山岳地帯の暗闇の中を、煌々と電燈を灯して、カラオケ音楽、歌声の大音響まき散らす車輛が、毎晩同じ時間帯に走り抜ける光景は異様なものです。

 

現在はさすがに廃止されているサービスだと信じますが。もっとエスカレートした、新規サービスの「アイデア列車」に変わっているかも知れません…

 

実は、この「カラオケ」列車に乗り込む前後にも記憶に残る出来事がありました。

 

貴州省の州都貴陽は、標高が1000㍍を超える高原にある都市です。その為、年間ほとんど霧が掛かり晴れて陽が差すがことが極めて稀な自然環境です。その日も貴陽行きのフライトに乗り込む前から、航空会社の情報では、濃霧の為着陸出来ない場合、飛行機は出発地に戻るということでした。

 

そんな中、貴陽に近づいたころ、予報通りかなり厚い雲が垂れ込め、一瞬引き返すかに見えましたが、解放軍の空軍仕込みのパイロットは僅かな雲の隙間を目指して機首を下げ始めました。しばらく雲の中を降下し、時間がかなり経過し頃、機体から車輪を出し着陸態勢に切り替わりました。窓から外を見ると滑走路ではなく、青々としたトウモロコシ畑が目前に迫ってきました。恐らく車輪の一部はトウモロコシの穂に触れたかもしれない程地面と接近していました。

 

滑走路が無いことに気づくや間髪を入れず、機体は急上昇し事無きを得ました。窓から見るとはるか後方に滑走路が小さく見えていました。パイロットが目視を誤ったのか、管制官の指示が間違ったのか知りませんが、着地失敗で危機一髪だったような気がします。その後はもう一度上空を旋回して、二度目のトライで着陸できました。

 

翌朝、ようやく遵義に辿りつき、遵義の工場視察での話ですが、事前にメーカーの人から良い工場・悪い工場の見分け方として、笑い話ですが、教えられたことがありました。

当時の日本の場合:

  • 一流の工場 見学者が来ても作業者は手を止めず作業を継続する
  • 二流の工場 見学者が来ると作業者は一瞬手元を止めて見学者を見るが、直ぐに作業を続ける。
  • 三流の工場 見学者が来ると作業者は手元を止めてじっと見学者を見ている。

一方、中国工場は以下の通りでした。

  • 一流の工場 見学者が来ると作業者は一瞬見学者を見るが、直ぐに作業を続ける。
  • 二流の工場 見学者が来ると作業者は手元を止めて、じっと見学者を見ている。
  • 三流の工場 今まで作業をさぼって何もしていなかったが、見学者が来ると急に作業に取り掛かり始める。

わたし達の視察した工場は典型的な三流工場でした。工場の名誉の為工場名は明らかに出来ませんが、合弁パートナーとしては相当厳しいかなぁ、改善の余地はかなりあるなぁという印象でした。

 

あまり貴州省に好印象を持てないと思うかもしれませんが、わたしは雲南省、四川省同様、貴州は実はいまでも大好きな省の一つです。水の多い豊かな自然や少数民族が多く住んでいます。以前駐在していた湖南省の隣に貴州省があるので、新幹線で気軽に行くことも出来ました。もっともこの路線はトンネルばかりで景色を愉しむことは望めません。省都貴陽も良いですが、ミャオ族など少数民族の多い凱裏(かいり)などの地方都市も大変魅力的です。(凱裏出身のピー・ガン監督の『凱裏ブルース』という素晴らしい映画があります)投稿記事:レビュー「凯里ブルース」注目のピー・ガン監督/そこには本物の中国の”人生”が存在する 山に囲まれた内陸にある省で日本からはアクセスに少し苦労しますが、魅力に溢れる地域なので、機会があれば是非訪問される事をおすすめします。

 

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