『ベケット』のあらすじと概要
ギリシャで休暇を過ごしていたアメリカ人観光客のベケット(ジョン・デビッド・ワシントン)は、山岳地帯で自動車の居眠り運転が原因で転落事故を起こし、崖下にあった民家に突っ込んでしまい、ある身に覚えのない嫌疑を掛けられ、謎の組織に命を狙われる身となってしまいます。命からがらアテネのアメリカ大使館に逃げ込み、汚名を晴らそうと必死になっていました。しかしながら、アメリカ大使館員も信頼出来る人物ではありませんでした。またもや追跡が迫るにつれて緊張が高まるだけでなく、同時にギリシアの一般民衆のデモも発生、国内の政情不安も更に高まりを見せて行きます。
原題:Beckett (=人名)
『ベケット』のスタッフとキャストについて
ェルディナンド・チト・フィロマリノ監督・脚本:「君の名前で僕を呼んで」(18)等、数多くのグァタニーノ監督作品でセカンド監督を務めて来たフォロマリの監督の映画初監督作品となります。
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音楽は坂本龍一が手掛けています。ずしりと響く音響効果は冴えていました。
ジョン・デビッド・ワシントン(ベネット):デンゼル・ワシントンの実子。ロサンゼルス出身。9歳の時に、父デンゼル主演のスパイク・リー監督の映画『マルコムX』に端役で出演する。アメリカンフットボール選手を引退後、本格的に俳優業を開始しています。
出演作投稿記事 ➢
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アリシア・ヴィキャンデル(恋人エイプリル):スウェーデンのヴェストラ・イェーターランド県ヨーテボリ出身。ベケットの恋人。本編冒頭に交通事故で亡くなってしまう。
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ボイド・ホルブルック(大使館職員タイナン):ベネットの唯一の味方かと思いきや、組織の一員。(ネタバレ)<キャリア>2001年に、シアターで大工として働いている時に見いだされ、モデルとしてElite Modelsと契約した。その後も、グッチ、ジャン・ポール・ゴルティエ、ヒューゴ・ボス、ビル・ブラス、カルヴァン・クライン、モスキーノ、マーク・ジェイコブス、DSquared2のようなブランド、デザイナーの元でモデルをつとめた時期がありました。
映画では、コロンビア大学で、シナリオ制作と映画史について聴講生として受講し、映画シナリオの勉強もしており、2007年にガス・ヴァン・サント監督にシナリオを送ったのがきっかけで、映画『ミルク』にデントン・スミス役での出演が決定しました。
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『ベケット』のネタバレ感想
ネタバレ有り!
本作品は一度観ても内容を理解するのかかなり困難だと思いました。
わたしは鑑賞後解説を読んで、やっと少しストーリーが分かってきました。
”マフィアはカラス議員から借金を取り立てるために甥っ子・ディモスを誘拐したのですが、ベケットに目撃されたので殺そうとしてきます” これがマフィア絡みの事件の真相らしいです。
米大使館員のタイナンの正体は、極右組織・サンライズの所属員ではないかと推測されています。タイナンの組織は敵対関係にあるカラス議員の誘拐事件を知り、極左組織だと名乗って勝手に犯行声明を出すことでカラス議員を失脚させようとしました。カラス議員が暗殺されて死亡したので、誘拐事件について真相を暴く恐れのあるベケットを、もう殺さなくても良いと判断したものと思われます。カラス議員を殺したのはマフィア…?
ジョン・デビッド・ワシントン扮するベケットがひたすら飛び降りて負傷した脚を引きづりながら、腕にはギブスをはめながら、山岳地帯からアテネまで決死の逃避行を行います。誰に追われているのか(警官の制服を着ている者もいるからややこしい)その正体が中々明らかになりません。それほどギリシャの政情は不安定なのでしょうか!(2009年に起こって国内外を揺るがせたギリシャ危機時点での政情不安が背景にあったようです)やはり、多少の予備知識は持って観た方が良かったかもしれません。
本作品では、全編で見応えのあるベケットの逃走シーンが連続します。元プロのアメフトの選手だけあり、走りっぷり、断崖絶壁、駐車場階段からのダイブなど超人的な能力を発揮しています(本当に本人が演じたとは思えませんが)また、追いすがる強敵を悉く撃退している凄腕です。
背景にあるギリシャの美しい山岳シーン、高所にある古代遺跡、石畳・情緒たっぷりのギリシアの市街地の町並・風景などを愉しむという本作品の見方も十分ありではないかと思いました。
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