『マイ・レフトフット』、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』と『リンカーン』でアカデミー賞主演男優賞を3度受賞している超実力派のイギリス人俳優です。なお、『ギャング・オブ・ニューヨーク』では本来主役だったはずのレオナルド・ディカプリオを抑えてアカデミー主演男優賞にノミネートされています。これはディカプリオ本人すら主演はデイ=ルイスで当然と語っているほどだそうです。また、徹底した役作りを行うことでも知られています(役作りについては各作品の紹介記事に少し記載しています)最近見た作品を中心に10作品をご紹介します。まだ、未観賞の作品がありましたら、是非参考にしてみてください。
『ファントム・スレッド』(2017/ポール・トーマス・アンダーソン監督)
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソン監督とダニエル・デイ=ルイスが10年振り2度目のタッグを組み、1950年代のロンドンを舞台に、有名デザイナーと若いウェイトレスとの究極の愛が描かれる。
名優デイ=ルイスが主人公レイノルズ・ウッドコックを演じ、今作をもって俳優業から引退することを表明しています。
1950年代のロンドンで活躍するオートクチュールの仕立て屋レイノルズ・ウッドコックは、英国ファッション界の中心的存在として社交界から脚光を浴びていました。別荘のある田舎町のウェイトレスのアルマとの運命的な出会いを果たしたレイノルズは、アルマをミューズとしてファッションの世界へと迎え入れます。甘いロマンスを期待したアルマの思いとは裏腹に、彼が執着するのは彼女の完璧な身体だけでした。作り続けられるドレスによって、アルマは美しさと輝きをまとっていきますが、“道具”として扱われることに徐々に不満を募らせていきます。そして、アルマの存在がレイノルズの整然とした完璧な日常生活に変化をもたらしていくことになります…
おすすめ映画『ファントム・スレッド』(2017/ポール・トーマス・アンダーソン監督)感想‣天才仕立屋が見出したミューズ…しかし、愛の主導権争いが予期せぬ禁断の境地へ…
『眺めのいい部屋』(1986/ジェームズ・アイボリー監督)
E・M・フォースター原作の同名小説をイギリスの名匠ジェームズ・アイボリー監督が映画化した恋愛ドラマ。まだ封建的な思想が残り、階級意識がとても強かった20世紀初頭。フィレンツェを訪れたイギリス名家の令嬢ルーシーは、宿屋「ベルトリーニ」の“眺めのいい部屋”(アルノ河を見下ろせ、フィレンツェの街を一望できる部屋を譲られ大喜び)を譲ってくれた青年ジョージと一緒にピクニックに行くことに、そこで情熱的なアプローチ(いきなり接吻!)を受けます。しかし、階級や身分の違いを気にしたルーシーはジョージの思いを受け入れる事が出来ず、イギリスに帰国してしまいます。数か月後スーシーは貴族の青年セシルと婚約しまいますが……。
おすすめ映画『眺めのいい部屋』(1986/ジェームズ・アイボリー監督)感想‣ヘレナ・ボナム=カーター扮する品行方正な少女が自分の感情に従って真に愛する人を手に入れる…
『ラスト・オブ・モヒカン』(1992/マイケル・マン監督)
18世紀半ば、イギリスとフランスがアメリカで戦ったフレンチ・インディアン戦争を背景に、英国人開拓者の孤児だったモヒカン族の青年ホークアイが、父親であるマンロー大佐が守備をし、英仏軍の砲弾が飛び交う激戦の地ヘンリー砦へ向かう途中、フランス側につくヒューロン族に襲われた英国大佐令嬢姉妹を救う。無声映画時代から何度も映画化され、古典的名作とされるジェームズ・F・クーパーの小説の再映画化。主人公に扮したD・デイ=ルイスが従来のイメージをまったく払拭するキャラクターを見せるアクション・ロマンとなっています。
おすすめ映画『ラスト・オブ・モヒカン』(1992/マイケル・マン監督)感想‣長髪のモヒカン族の勇者ダニエル・デイ=ルイス!
『マイ・レフトフット』(1989/ジム・シェリダン監督)
脳性小児麻痺の画家クリスティ・ブラウンの半生を実写映画化した伝記映画。1932年、アイルランド・ダブリン。大家族の22人兄弟の10番目の子どもとして生まれたクリスティは、生まれつき重度の脳性小児麻痺に冒されていました。それでも彼は優しい母や兄弟たちに支えられ、貧しくも温かい家庭で成長していきます。ある日、クリスティは父に「言葉もわからないし字も扱えない」と侮蔑された悔しさから左足にチョークを持つと、必死に這いずり回りながら床に初めての字「MOTHER」を書いて見せます。こうして外の世界と触れ合う手段を得た彼は、やがて左足に全てを託し自身の才能を開花させていくことになります。
おすすめ映画『マイ・レフトフット』(1989/ジム・シェリダン監督)感想‣本作はダニエル・デイ=ルイスの最高傑作に違いない!
『父の祈りを』(1993/ジム・シェリダン監督)
1970年代の英国の司法界史上最大の汚点とされるバーミンガム・パブ爆破事件「ギルフォード・フォー事件」を基に、無実の罪で15年間投獄された父子の長い戦いと絆を描いた人間ドラマ。
「マイ・レフトフット」の監督ジム・シェリダンと主演ダニエル・デイ=ルイスが再タッグを組み、再審への15年にも及ぶ長い長い戦いを描く。1994年・第44回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞しています。1974年、北アイルランド。定職にも就かず遊んでいる青年ジェリー・コンロンは、IRAを挑発したために彼らから目をつけられてしまいます。父ジュゼッペはほとぼりが冷めるまで、ジェリーをロンドンへ行かせることに。やがて、ロンドンから約50キロ離れたギルフォードで爆破テロ事件が発生し多くの死傷者を出します。一方、久々にアイルランドに帰ったジェリーは、爆破テロをIRAの犯行と考える警察に容疑者として逮捕され、父ジュゼッペもイギリスに連行されてしまいます。ジェリーは厳しい尋問の末に白紙の供述書に署名し、父子は同じ刑務所に投獄されます。共演に「ユージュアル・サスペクツ」のピート・ポスルスウェイト、「ハワーズ・エンド」のエマ・トンプソン。
おすすめ映画『父の祈りを』(1993/ジム・シェリダン監督)感想‣実直な父と放蕩息子の絆を軸に、冤罪とテロリズムへの怒りを描く!
『リンカーン』(2012/スティーブン・スピルバーグ監督)
スティーブン・スピルバーグ監督が、名優ダニエル・デイ=ルイスを主演に迎え、アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの人生を描いた伝記ドラマ。
貧しい家に生まれ育ち、ほとんど学校にも通えない少年時代を送ったリンカーンだが、努力と独学で身を立て大統領の座にまでのぼりつめる。しかし権力の座に安住することなく奴隷解放運動を推し進めたリンカーンは、一方でその運動が引き起こた南北戦争で国が2つに割れるという未曾有の危機にも直面していきます。
1865年1月。大統領に再選され2ヶ月が経ちましたが、アメリカでは4年以上に及ぶ南北戦争は泥沼化し未だ続いていました。「すべての人間は自由であるべき」と信じるリンカーンは奴隷を永久に解放するため、上院を通過したものの、奴隷制度を永遠に葬り去る「合衆国憲法修正第13条」を下院議会で批准させるまでは戦いを終わらせないという強い決意がありました。そのためにも、国務長官ウィリアム・スワードらと共に憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出すことになります。
アメリカ合衆国第16代大統領 エイブラハム・リンカーン ― 史上最も愛され、奴隷解放を推し進めたた大統領 映画『リンカーン』【感想】
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007/ポール・トーマス・アンダーソン監督)
本編『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(原題: There Will Be Blood)は、2007年公開のアメリカの映画。アプトン・シンクレア著「石油!」を原作とし、米国西部ニューメキシコ州を舞台に富と権力を手にしたある石油王の破滅的な運命を描く。第80回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞など最多8部門にノミネートされたが、結果的には同じく8部門にノミネートされていた『ノーカントリー』(07年)が監督賞、作品賞、助演男優賞など最多4部門を受賞し、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は主演男優賞と撮影賞の2つにとどまった。
おすすめ映画|『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007/ポール・トーマス・アンダーソン監督)石油ラッシュ時代の悲劇のドラマ
『NINE』(2010/ロブ・マーシャル監督)
フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』のトニー賞受賞の同名ブロードウェイ・ミュージカルを、『シカゴ』のロブ・マーシャル監督が映画化。
主人公の映画監督グイドに『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のダニエル・デイ=ルイス、彼を取り巻ずけく豪華絢爛たる女優陣にマリオン・コティヤールやニコール・キッドマン、ペネロペ・クルスらアカデミー賞受賞者がきらびやかに華を添える。目を見張るゴージャスなステージで繰り広げられる迫力ある歌とダンスに目が釘づけです。
映画『NINE』ダニエル・デイ=ルイス主演のミュージカル映画(感想)豪華女優陣の眩いばかりのゴージャスな踊りと歌にただただ圧倒されるばかり…
『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年/マーティン・スコセッシ監督)
「タクシー・ドライバー」(76)、「レイジング・ブル」(80)など数々の名作を残してきたマーティン・スコセッシ監督。ニューヨーク出身、ニューヨーク大で映画を学んだ彼は、これまでもニューヨークを舞台にした作品が多い。本作品「ギャング・オブ・ニューヨーク」おすすめ映画|『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年/マーティン・スコセッシ監督)レオナルド・ディカプリオと同監督との初タッグの映画は、その彼が1860年代、ニューヨークの勃興期の混沌としたエネルギッシュな時代を描くもの。
監督のマーティン・スコセッシは「構想に30年を要した」と語っている程、どうしても撮りたかった映画だそうです。撮影はローマ郊外の大規模映画スタジオである「チネチッタ」に当時のニューヨークの町並みを完全再現して行われ、撮影期間270日、制作費約150億円と膨大な費用がつぎ込まれた大作となっています。
おすすめ映画|『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年/マーティン・スコセッシ監督)レオナルド・ディカプリオと同監督との初タッグの映画
『ボクサー』(1997/ジム・シェリダン監督)
刑務所帰りの元ボクサーと、彼の元恋人の人妻をめぐるラヴ・ロマンス。監督は「マイ・レフト・フット」「父の祈りを」のジム・シェリダンで、主演のダニエル・デイ=ルイスとのコンビ3作目となります。
北アイルランド、ベルファスト。ボクサーとして有望視されながら、IRAに参加したことで服役していたダニーは14年ぶりに故郷の町に帰ってきました。元恋人で組織の幹部ジョーの娘でもあるマギーは、親友の妻となり、息子のリアムを育てながら服役中の夫を待つ身でした。ダニーはマギーへの愛を胸に、元コーチのアイクの助けを借り、再びボクサーとしてリングへあがります。
再燃するかに見えたダニーとマギーの仲は、穏健派のリーダーであるジョーにも従わないIRAの過激な闘士ハリーをはじめとする組織の監視の目に阻まれてしまいます。そして警察互助会会長のレジー・ベルが主催するボクシングの試合の日。強敵をくだしたダニーでしたが、直後、会長が暗殺される事件が起こり騒然となります。暴動の中、ジムも炎上。放火したのはマギーとダニーの密会に疑いを抱き、ふたりがどこかにいってしまうのではないかと考えた息子リアムでした。マギーからことの次第を聞き、ショックを受けるダニー。そこをハリーたち過激派が急襲、ダニーは拉致されてしまいます・・・
おすすめ映画『ボクサー』(1997/ジム・シェリダン監督)感想‣北アイルランド紛争、ボクシングが絡む元恋人の人妻とのラヴ・ロマンス!
コメント