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おすすめ映画|『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007/ポール・トーマス・アンダーソン監督)石油ラッシュ時代の悲劇のドラマ

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ゼア・ウィル・ビー・ブラッドのあらすじと概要

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本編『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(原題: There Will Be Blood)は、2007年公開のアメリカの映画。アプトン・シンクレア著「石油!」を原作とし、米国西部ニューメキシコ州を舞台に富と権力を手にしたある石油王の破滅的な運命を描く。第80回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞など最多8部門にノミネートされたが、結果的には同じく8部門にノミネートされていた『ノーカントリー』(07年)が監督賞、作品賞、助演男優賞など最多4部門を受賞し、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は主演男優賞と撮影賞の2つにとどまった。

(あらすじ)
舞台は20世紀初頭のアメリカ西部(カリフォルニア州、ニューメキシコ州)。一攫千金を夢見るダニエル・プレインヴュー(ダニエル・デイ=ルイス)は、山師として鉱山や石油の採掘を行っており、相手の信頼を得る為に交渉の場にいつも幼い一人息子H.W.(ディロン・フレイジャー)を伴っていた。

彼は、サンデー牧場のある西部の広大な土地に石油が出る兆候があるという情報をサンデー家の青年ポール(ポール・ダノ)から得ます。H.W.や仕事のパートナー、フレッチャー(キアラン・ハインズ)を伴い、カリフォルニアの小さな町リトル・ボストンのサンデー牧場を訪れたダニエルは、家長でポールの父であるエイベルとポールの双子の兄イーライと交渉し、貧しいサンデー家から採掘権を買い取ります。

プレインヴューは、見渡す限り荒野の町の他の地主たちを言いくるめて安く土地を買い占め、仲間を呼び寄せて試掘を開始、見事、油脈を掘り当てますが、爆発炎上事故が発生し、H・Wは吹き飛ばされて聴力を失います。

一方、聖霊派教会のカリスマ牧師イーライ・サンデー(ポール・ダノ)は、土地を荒らし、教会への寄付もしないプレインヴューを疎ましく思っていましたが、プレインヴューはある日息子が耳が聞こえなくなったことを怒り、「神は無力か」とイーライを激しく叱責し殴打します。H・Wは精神的混乱からダニエルの家に火を放ち、H・Wとの生活が事業の邪魔になると考えたダニエルは、彼をサン・フランシスコの寄宿舎学校に追いやってしまいます。

石油パイプラインを通すためにバンディ家の土地が必要だったダニエルは、イーライが主宰する教会で洗礼を受ける見返りにリース契約を結ぶことをバンディからもちかけられ、それをのみます。イーライはダニエルを洗礼する際に、自分は息子を見捨てた罪人だ、と教会に集まる信者らの前でダニエルに認めさせます。

やがて手話を学んで帰ってきたH・Wとダニエルは和解し、イーライは宣教のため町を離れます。十数年後、成長したH・Wは幼馴染であるサンデー家の娘メアリーと結婚します。事業で大成功を収め、大きな屋敷で一人さびしく酒におぼれる生活を送っていたダニエルに、H・Wは妻とともにメキシコに移り、起業したいと申し出、激怒したダニエルは、お前は孤児だったと明かし、実際は自分とは血がつながっていない、と彼を勘当してしまいます。

今度はダニエルの元にイーライが突如現れ、バンディ家の土地での石油採掘に出資するよう願いでます。ダニエルは、自分はインチキ預言者で神は迷信だ、とイーライが宣言することを条件に出します。イーライがひとしきりそう語った後で、ダニエルはバンディ家の土地にはもはや石油が残っていないことを打ち明けたうえ、狂気からイーライを殴り殺してしまうという悲劇が起こる。

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドネタバレ感想

ストーリーとテーマについて

映画は暗い洞穴の中で、1人つるはしを振るうダニエルの姿を映し出す冒頭のシーンは圧巻です。金脈を探し当て、街で鉱石を販売して当時のお金で300㌦程の金を手に入れます。それから徐々に事業家(石油屋)としての頭角を現し、のし上がっているサクセスストーリーです。

但し、主人公ダニエルの異常な個性と周囲の人間関係の壮絶なやり取りが描かれています。

ダニエルのキャラクターの特徴は、①孤独、②疑い深く他人を信用しない、③欲深い上に、他人の成功も喜ばない独占欲の塊りとなっています。今少しずつ石油を掘り当てているダニエルの長期戦略は、大量の石油を発掘して大成功し、大金持ちになり、その後は一人息子H.W.に跡を継がせようということでした。但し、H.W.は実子ではなく、捨て子を拾って育て上げたことになっています。正式な奥さんはおらず、巨万の富を築きながらも全くの孤独な人生を送っています。

また、多数の「敵」が次々に登場してきます。①聖霊派教会のリーダーとして頭角を現す若きカリスマ牧師イーライ・サンデーです。ダニエルに石油の埋蔵が確実な情報を提供した双子の兄弟の兄の方です。②スタンダード・オイル社 既に石油メジャーの一角にのし上がっていましたが、ダニエルの保有する土地の買収話を持ち込みますが、それを断ります。③自分の義理の弟を名乗る人物の登場。最初は信じていましたが、偽物である事が分かり、悲劇が発生します。④息子H.W.が父親からの独立を希望することから、親子間の亀裂が決定的となります。

キャラクターとキャストについて

監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン 『マグノリア』(00)、『パンチドランク・ラブ」(02)などわずか6本のフィルモグラフィで世界三大映画祭すべてで監督賞に輝いた稀有な映画監督であり、大変注目されている監督。
原作:アプトン・シンクレア『石油!』
ダニエル・プレインヴュー(元銀鉱労働者、石油王)/ダニエル・デイ=ルイス アカデミー主演男優賞を3回受賞している唯一の俳優である。(受賞作『マイ・レフトフット』(89)、本作品(07)、『リンカーン』(12)の三作品)
ポール・サンデー
イーライ・サンデー(双子の兄弟、聖霊派教会の牧師)/ポール・ダノ
H.W.(ダニエルの一人息子)/ディロン・フレイジャー

まとめ

19世紀末から20世紀初期に掛けて米国西部の石油ラッシュ時代の石油王の生涯を描いている。個性的で実際に大成功を収めた実在の人物を描いているそうだが、性格はかなり異様と描かれている。大金は手に入れたが果たして幸福な人生だったか?

本作品やはり大変注目されるのはダニエル役のダニエル・デイ=ルイスの迫真の演技ではなかろうか。三度のアカデミー賞主演男優賞を獲得してる演技は一部のスキも無い。『マイ・レフトフット』の成功以降出演オファーが途切れたことはない程の大人気にもかかわらず、出演作の数はキャリア47年間で21本と寡作、出演を辞退する映画が多いというのも頷ける。それだけ、出演する作品に対する入れ込み度が深いようだ。

今後は映画は引退し、靴作りと木工作業に没頭しているらしい。

本作品に対するわたしの評価は92点。

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