『アイアンクロー』のネタバレ感想・見どころ
ゴールデンウィークの最中、生憎の雨降りとはいうものの午前中の映画館には多くの客が押し掛けていました。既に公開開始後１か月近く経っているのに大盛況、客席には他映画とは異なる風情(プロレスファン風！？）の観客多し…
昭和の白黒テレビ番組を見ていた世代の人間は殆んど「アイアンクロー」というプロレスの必殺技をTV実況中継で見ていたと思います。ヒール役の繰り出すアイアンクローなる凄わざに呆れたものですが、我らが馬場や猪木がのたうち回っている姿を見るのは堪え難いものがありました。そんな、必殺技をひっさげたフリッツ・フォン・エリックの家族の物語にこんな深いストーリーがあった事を映画を見て初めて知る事になりました。
プロレスという凄まじい華やかで熱狂的な裏舞台で起きていた、想像を絶する悲劇の連続に映画の観衆は打ちのめされることは間違いありません。信じ難いほどの悲劇の連鎖、唯一生き残った次男ケビン、並の神経の人間では衝撃の大きさに立ち直る事はほぼ不可能ではないかと思われます。戦争や天変地異でもない限り５人兄弟（しかも羨ましい程仲睦まじい兄弟）の内の４人を若くして失う事があり得るのかと思いました（さらにこれは事実！）
主演ザック・エフロンの鍛え上げられた筋骨隆々の姿に驚き、本来むさ苦しい筈の男４兄弟(長男は５才で失っています）の仲睦まじい兄弟愛の深さ、プロレスに熱狂する観客の熱量、家族を襲う容赦ない悲劇の凄まじい嵐…なにもかも驚きと感動の連続でした。
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『アイアンクロー』のあらすじと概要
日本でも１９６０－１９７０年代にジャイアント馬場やアントニオ猪木らと激闘を繰り広げ、鉄の爪＝アイアンクロー（鉄の爪）を必殺技としたアメリカの伝説的な悪役プロレスラー、フリッツ・フォン・エリックを父に持ち、プロレスの道を歩むことになった兄弟の実話をベースに描いたドラマ。
1980年代初頭、元AWA世界ヘビー級王者のフリッツ・フォン・エリックに育てられたケビン、デビッド、ケリー、マイクの兄弟は、父の教えに従いプロレスラーとしてデビューし、プロレス界の頂点を目指していました。しかし、世界ヘビー級王座戦への指名を受けた三男のデビッドが、日本でのプロレスツアー中に急死したことを皮切りに、フォン・エリック家は次々と悲劇に見舞われ、いつしか「呪われた一家」と呼ばれるようになっていきます。
本作は、2023年末にアメリカで公開されると、観客の口コミから人気が沸騰し、辛口批評サイトの観客スコアは94％支持を記録したという話題作。飛ぶ鳥を落とす勢いのスタジオ「Ａ２４の新作」。
2023年製作／132分／アメリカ
原題：The Iron Claw
『アイアンクロー』のスタッフとキャストについて
ショーン・ダーキン監督・製作・脚本：カルト教団による洗脳と苦悩を題材にした「マーサ、あるいはマーシー・メイ」（2011）で、鮮烈なデビューを飾っています。監督自身プロレスの大ファンで、フォン・エリック家の悲劇に衝撃を受けたひとり、長年取り憑かれていた驚きの実話を、家族の愛情と葛藤のドラマとして再構築。プロレスにまつわる栄光と挫折を掘り下げ、植え付けられた価値観からの解放という今日的なテーマに踏み込んでいます…
ザック・エフロン（次男ケビン）：本作出演にあたり驚異的な肉体改造を行い、本物のプロレスラーと見紛うほどの筋骨隆々なボディを披露しており、びっくり仰天。１９８０年代流行の髪型なのか兄弟全員が長髪、とにかく家族思い、強烈な兄弟愛を前面に押し出しての演技にはしびれました…
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ハリス・ディキンソン（三男デビッド役）：兄弟の中では一番父親から目を掛けられ世界ヘビー級王座戦への指名を受けたが、持病が悪化して日本で急死してしまいます。
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