『フェラーリ』のあらすじと概要
マイケル・マン監督がアダム・ドライバーを主演に迎え、イタリアの自動車メーカー・フェラーリ社の創業者エンツォ・フェラーリ59歳の時の一断面（わずか3ヶ月の出来事）を描いたドラマ。ブロック・イェーツの著書「エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像」を原作に、私生活と会社経営で窮地に陥った5エンツォが起死回生をかけて挑んだレースの真相を描ています。
1957年。エンツォ・フェラーリは難病を抱えた息子ディーノを前年に亡くし、会社の共同経営社でもある妻ラウラとの関係は冷え切っていました。そんな中、エンツォは愛人リナとその息子ピエロとの二重生活を妻に知られてしまいます。さらに会社は業績不振によって破産寸前に陥り、競合他社からの買収の危機に瀕していました。再起を誓ったエンツォは、イタリア全土1000マイルを縦断する過酷なロードレース「ミッレミリア」に挑戦します。
妻ラウラをペネロペ・クルス、愛人リナをシャイリーン・ウッドリーがそれぞれ演じています。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。
2023年製作／130分／アメリカ・イギリス・イタリア・サウジアラビア合作
原題：Ferrari
『フェラーリ』のスタッフとキャストについて
マイケル・マン監督：本人自身、大のフェラーリの愛好家でもあり、過去に308GTA、テスタロッサ、575マラネロ、599GTOを所有していたという…
➢製作 おすすめ映画｜『フォードｖｓフェラーリ』（２０１９／ジェームズ・マンゴールド監督）絶対王者フェラーリに挑んだ男たちの実話
アダム・ドライバー（エンツォ・フェラーリ）：実年齢より20才も年上であるエンツォを演じています。髪型、メイクで一見誰だか分かりませんでしたが、徐々に目が慣れアダムであることを実感していきました。落ち着いた円熟味のある演技はさすがと思わせました…
同じくイタリアの名門一族の伝記映画にも出演しています。
➢おすすめ映画「ハウス・オブ・グッチ」（２０２１／リドリ―・スコット監督）感想‣名門一族で繰り広げられる愛憎劇の驚きの全容が明かされる！
ペネロペ・クルス（妻ラウラ）：全般的には冷え切った関係の夫婦間の愛憎劇、子供を病気でなくした母親役で鬱屈した人生を送る女性役乍ら、強い意志を持つ女性を見事に演じています。
➢おすすめ映画『赤いアモーレ』（２００４／セルジオ・カステリット監督）感想‣心に傷を抱えた孤独な男女が出会い深く愛し合う…
シャイリーン・ウッドリー（愛人リナ・ラウディ）：第二次大戦の戦争中にエンツォとの関係が始まり、戦後までずるずると愛人関係を続けている事に納得はしていません。しかしながら息子を認知してもらっていることもあり、関係は切る事は出来ない。
『フェラーリ』のネタバレ感想・見どころ
一度は運転してみたいスーパーカー・フェラーリの映画、楽しみに見てきました。映画は1957年の3ヶ月という短い時間で起った事実に基づいて構成されていました。これだけの出来事が人生の縮図の様に短期間に発生するという非情に濃い人生を送ったという事でしょう…当時フェラーリは年間180台ほどしか販売する事が出来ず、倒産の危機に立たされていた様子が描かれています。但し、ユーザーであるフセイン国王の姿も描かれていました…フィアットかフォードに吸収合併される話が進展していました。
一方、この経営危機を乗り切る為にはイタリア全土1000㌔を駆け巡る過酷なレースで優勝して名声を得る必要がありました。エンツォ・フェラーリは社運を賭してこのレースに望みます。その挑戦には微塵も悲壮感は感じられませんでしたが、レースに参加するレーサーは全員”遺書”を書き残しているところが、その後の大事故発生を予感させられることになります。コースは驚くべき事に一般公道が使用されています。しかも時速300㌔という信じられない速度で町中を疾走していました。大半がオープンカーで、危険この上なしです。
後半はレースに焦点が当てられますが、前半まではエンツォと妻ラウラ・愛人リナとの因縁の関係が詳細に描かれていきます。ラウラとの子供はいましたが、幼くして病死、一方リナとの間にも男の子がいました（のちにフェラーリを名乗り、事業を引き継いでいました）嫁・姑との関係も最悪でした…
フェラーリ一家の波乱万丈の人生が濃縮された3ヶ月という短い時間での出来事、公私を含め赤裸々に公開された内容には興味津々で見入る事ができました。一方、フェラーリの強力なエンジンの秘密など技術面の内面にももう少し触れて欲しかったと思いました（同地域は金属の鍛造技術が素晴らしいなどのコメントはあり）。当時のマセラッテとの競合の様子は面白く描かれていました…
アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス共に従来の映画で決して見ることの出来なかった、迫真の演技が非常に見どころとなっていました…
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