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おすすめ映画|『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(2018/グザヴィエ・ドラン監督)

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liushuquanによるPixabayからの画像
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ジョン・F・ドノヴァンの死と生 のあらすじと概要

自身俳優としても活躍しているクサヴィエ・ドラン監督最新作、初の英語作品映画。カンヌ国際映画祭グランプリに輝いた前作「たかが世界の終わり」から5年に及ぶ構想期間を経て作られたもの。

2006年、ニューヨーク。人気俳優のジョン・F・ドノヴァンが29歳の若さでこの世を去った。自殺か事故か、あるいは事件か、謎に包まれた死の真相について、真相を知っていたのは11歳の少年ルパート・ターナーだった。10年後、新進俳優として注目される存在となっていたルパートは、ジョンと交わしていた100通以上の手紙を1冊の本として出版。さらには、著名なジャーナリストの取材を受けて、すべてを明らかにすると宣言する……。

物語は、ドランが幼いころ、当時夢中で憧れていたレオナルド・ディカプリオに手紙を送ったという自身の経験から着想を得た。「タイタニック」は単に子供の頃から好きと言うだけではなく、ドラン監督に取ってすべての出発点だったと語っています。

出演は「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントン(ジョン・F・ドノヴァン)、「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイ(ルパート)をはじめ、ナタリー・ポートマン(サム、ルパートの母親)スーザン・サランドン(ジョンの母親)、キャシー・ベイツら豪華実力派がそろった。

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ジョン・F・ドノヴァンの死と生 のネタバレ感想

ストーリーとテーマについて

TVスターの栄光の裏に隠された真相が100通以上にも及ぶ少年との秘密文通の中で明らかになる模様を描いた映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』。

精巧な映像美(カメラと出演者の距離が非常に近く表情が物凄く鮮明)と、鮮やかにシーンを彩る音楽で個性豊かな生き方を描く本作品は、若くしてその才能を認められ国際映画祭を席巻したグザヴィエ・ドランがメガホン(前作「たかが世界の終わり」でカンヌ国際映画祭グランプリ受賞後、5年に及ぶ構想期間を経て作成された)を取っています。

自身もまた性的マイノリティであることを告白、『胸騒ぎの恋人』(2010年)や『わたしはロランス』(2012年)など、自身の他の作品でもたびたび同性愛やトランスジェンダーの視点を取り入れてきています。本作でも、その重要な主題は描かれています。さらに、母と息子の軋轢や葛藤も本作品の構成する重要な要素であり、本作では2組の親子(ジョンと母親、ルパートと母親)を用いて描き上げています。ドランが表現しようと試みているものは、常にこの2つの軸が大きく関与していました。そしてこの2つの軸は、常に相互的に絡み合いながら、ドランの作品をより繊細で奥深いものにしています。

キャラクターとキャストについて

出演は「ゲーム・オブ・スローンズ」のキット・ハリントン(ジョン・F・ドノヴァン)、「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイ(ルパート)をはじめ、ナタリー・ポートマン(サム、ルパートの母親)スーザン・サランドン(ジョンの母親)、キャシー・ベイツら豪華実力派がそろった。

グザヴィエ・ドラン監督 カナダ・ケベック州出身。6歳の頃から子役として映画やTVドラマに出演。19歳で完成させた監督デビュー作「マイ・マザー」(2009)が、第62回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品され、若者の視点賞などを受賞。続く「胸騒ぎの恋人」(10)、「わたしはロランス」(12)もカンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され、前者で再び若者の視点賞を受賞、後者では主演女優のスザヌ・クレマンに最優秀女優賞をもたらし、カナダの俊英として脚光を浴びる。監督4作目「トム・アット・ザ・ファーム」(13)では、第70回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で国際批評家連盟賞を受賞。続く「Mommy マミー」(14)は第67回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞(ジャン=リュック・ゴダール監督の「さらば、愛の言葉よ」と同時受賞)、「たかが世界の終わり」(16)では第69回カンヌ国際映画祭のグランプリを受賞した。自身の監督作で多く主演を務めているほか、「エレファント・ソング」(14)、「ある少年の告白」(18)などに俳優として出演。本作品「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」(18)ではキット・ハリソン、ナタリー・ポートマンら豪華キャストを迎えた監督第7作目。

ハリントンはある雑誌のインタビューで、人気スターのジョン・F・ドノヴァンを演じるにあたり、『僕はドノヴァンという役を演じるにあたり他の誰かを参考にしたりはしなかった。あれはすべて自分の中から湧き出てきたものなんだ。映画の中で俳優役を演じるとき、自分自身からまったくかけ離れたものにすることなんてできなかった。自分の中にある一面で、どの部分をとってもそれは自分だということだと思う』とコメントしています。

本作品の中で描かれている部分に関連しますが、自身もまた性的マイノリティであることを告白、『胸騒ぎの恋人』(2010年)や『わたしはロランス』(2012年)など、自身の他の作品でもたびたび同性愛やトランスジェンダーの視点を取り入れてきています。本作でも、その重要な主題は描かれています。さらに、母と息子の軋轢や葛藤も本作品の構成する重要な要素であり、本作では2組の親子(ジョンと母親、ルパートと母親)を用いて描き上げています。ドランが表現しようと試みているものは、常にこの2つの軸が大きく関与していました。そしてこの2つの軸は、常に相互的に絡み合いながら、ドランの作品をより繊細で奥深い作品にしている点です。

自分の映画の中に自身を投影することが多いというドランですが、今回もまた、『テレビ画面に映っている役者たちに憧れる少年、いつか自分も彼らのようになりたいと思っている。僕もまさにそういう子供だった』と語っている通り、人気番組が始まったTVのスクリーンにかぶりつく少年の姿は真迫の演技で本作品の中でも非常に印象深いシーンとなっています。

今回ナタリー・ポートマンが演じるサラ(ルパートの母親)は女手ひとつでルパートを育て上げる母親役で、息子を心配する余り過保護的な一面も見せている名演技が光ります。

主役のキット・ハリントン以上に良い演技を見せていたのはルパート役を演じたジェーコブ・トレンプレーではないでしょうか。ジョンに憧れていたことから、将来はジョンと共演したいとの夢を持ち、子役をしていた影響からか、クラスメイトからは執拗ないじめに合ってしまいます。家庭でも口数が少なく内気な少年ですが、唯一夢中になれるのがテレビドラマ「ヘルサム学園」に出演するジョン・F・ドノヴァンでした。

ルパートのジョンへののめり込む演技は大人顔負けの「名演技」です。

まとめ

本作品は監督ドランの可能性を存分に発揮しているのではないかと思う。カメラが出演者の表情をきっちり見つめている鋭さがあり、一瞬の表情の変化も逃すまいと構えているようで恐ろしさを感じた。映像も音楽も非常に素晴らしい。次回作も非常に楽しみな監督のひとりである。

わたしの評価は95点です。

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