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おすすめの映画『アレクサンドリア』(2009/アレハンドロ・アメナーバル監督)感想‣古代アレクサンドリアに実在した女性哲学者、天文学者のヒュパティアの伝記映画

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『アレクサンドリア』のあらすじと概要

オスカー女優のレイチェル・ワイズが、4世紀に実在した女性天文学者ヒュパティアを演じる伝記映画。「海を飛ぶ夢」(2005)のアレハンドロ・アメナーバル監督がメガホンをとります。舞台は激動のローマ帝国末期、エジプト・アレクサンドリア。明晰な頭脳をもった美しい女性天文学者ヒュパティアは、天動説に疑問を感じ、何らかの地動説を肯定できる理由を模索し続けていました。そして、身分や立場にとらわれることなく、多くの弟子たちに熱心な講義を行っていました。しかし、キリスト教が定着し異教の排斥が行なわれ始めた時代、科学を否定するキリスト教徒と学者たちの間で激しい対立が起こり、やがてその問題の矛先はヒュパティア自身に向けられてしまいます。本国スペインでゴヤ賞7部門を受賞し、大ヒットを記録した映画です。

2009年製作/127分/スペイン
原題:Agora (広場という意味)

『アレクサンドリア』のスタッフとキャストについて

アレハンドロ・アメナーバル監督・脚本:チリ・サンティアゴ出身、スペイン国籍の映画監督・脚本家・作曲家。

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レイチェル・ワイズ(女性天文学者、哲学者ヒュパティア):キリスト教への改宗を頑なに拒み、青年たちに学問を教え続けています。

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マックス・ミンゲラ(奴隷ダオス):父は「イングリッシュ・ペイシェント」でオスカー監督賞を受賞したアンソニー・ミンゲラ。デビッド・フィンチャー監督「ソーシャル・ネットワーク」(10)などに出演している注目の若手俳優の一人/ヒュパティアに想いを寄せる奴隷。後に強硬派のキリスト教徒へ

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オスカー・アイザック(オレステス):ヒュパティアを愛する弟子。後にエジプト長官に昇進します。

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『アレクサンドリア』のネタバレ感想・見どころ

久し振りにレイチェル・ワイズ主演作品を見ました。映画『アレクサンドリア』は今回初見です。意外だったのは彼女は4世紀、ローマ帝国末期のエジプトのアレクサンドリアに実在した有名な女性天文学者・哲学者ヒュパティアを演じていました。(事前知識も無く見たので、アレクサンダー大王の活躍を描く映画かと勝手に思っていました・・・)ヒュパティアのストーリー自体見るも聞くのも始めてだったので、偉大な天文学者としての非常に興味深い業績・研究結果、それとは対照的に悲惨な彼女の”最期”には驚愕しました。(それでも映画のシーンはかなり脚色されたものらしく、実際は”魔女”と判断され゛超”が付く惨たらしい殺され方をしたと知りました(でも、その様なシーンは本編には出てこないのでご安心ください…)

”宗教戦争”という言葉があります。現在も世界紛争の原因も多くが”宗教”絡みであることは昔も現在もあまり変わりがありません。それにしても古代ローマ時代から元々あった信仰、更にユダヤ教、キリスト教の三宗教三つ巴のとてつもない宗教戦争が始まり、まったく収拾がつかない状況になっていく様子が描かれていきます。中でも”キリスト教”は新興教団として取り扱われて、燃え盛る火の上を歩いて渡るという”奇跡”を行う過激な信者が描出されていきます。”奴隷”などもいた古代ローマ帝政の時代に彼らに自由の考えを注ぎ込むことで信者を急激に増やしつつある状況が描かれます。

既にローマ皇帝がキリスト教に改宗しているという情報も伝えられていました。一方、厳格な学者であり、哲学者でもあるヒュパティアもキリスト教への改宗を迫られます。しかし、キリスト信者が古代からの信仰の対象であった偶像・宮殿や知の集積であった図書館を破壊する様子を見て、とても改宗などする気にはなれませんでした。

さらに自分が古代天文学などの知識を教えた弟子たちは成長し、やがてアレクサンドリアの長官やキリスト教の要職に就く者も出てきます。彼らはより現実的な立場から恩師であるヒュパティアの改宗を請願しますが、当然の事乍ら頑なに拒否されてしまいます。

映画ではヒュパティアが実際に船で海洋に乗り出し、高いマストの上から物を落下させて、マストの真下に落下してくるという実験の様子が描かれていました。もし地球が動いているなら、落とした物体は真下ではなく、少し移動した地点に落ちて来る事を証明したかったのかもしれません…既に彼女は「地動説」に近いアイディアを持っていました。しかし、アレクサンドリア図書館が破壊された事から古代からの天文学の知識の蓄積が消えうせた事、キリスト教の興隆に伴い「地動説」の研究は16世紀のコペルニクスの時代まで封印されてしまった事になります・・・

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