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人生最高の趣味 ”海釣り” 若狭湾イカ釣りの思い出

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旅の随筆
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KanenoriによるPixabayからの画像

2010年前後の名古屋在勤時代、初めて海釣りの経験をしました。その時、海釣りは人生で最高の趣味ではないかと感じました。同じ会社のK先輩に連れていかれ、釣りの手解きを受けました。場所は、知多半島に行くこともありましたが、ほとんど日本海側の若狭湾に行きました。名古屋市内からは僅か100㌔強の道程で高速道路を利用すれば、2時間弱で目的地に到着します。

高速出口を下りて敦賀あたりで撒き餌用のオキアミ(タイ釣り用の小型の冷凍エビ)などを購入して行きます。

初めて海に出た日は、まず、イカ釣りを経験しました。その時は『ロング』という意味すら知らなかったのですが、通常は朝出港して5,6時間釣りを愉しみ、夕方には戻ってくるのが普通です。その日、いきなり夕刻出港し、翌朝明け方まで17時から5時近くまで12時間続けて釣りまくるというものでした。初心者には少し厳しかったかも知れません。但し、ビギナーズラックもあり、釣果の手応えも十分、すっかり海釣りの魅力に取りつかれてしまう事になりました。はまってしまったのです。

イカ釣り経験のある方はご存知の通り、一本の糸に疑似餌を4つ付け、船頭さんの指定する重さの錘をつけ、指定された深水まで糸を垂らす必要があります。全長20㍍前後の船に左右の船側に2㍍間隔くらいで5名ずつ合計10名ほどの釣り客が各自釣り場所を確保していました。(その席は勝手に変更は出来ないようです)

船は出港後小一時間ほどでその日の漁場・ポイントに到着すると停止します。沿岸の景色が見えているので、それ程、岸から離れたわけではありません。船頭さんの指示に従い、潮流の強弱に合わせ、その付ける錘の重さを調整します。(潮流が速い時は釣り糸が流され過ぎない様に重い錘をつける)また、全釣り人の錘の重さを一定にするのは、潮流に流される際、釣り糸の傾きを一定にして、釣り客同士の糸が絡み合わない様にする為です。これがとても重要でした。一人でも、錘の重さや、垂らす糸の長さを守らない人がいると糸同士が絡まり(「お祭り」と呼んでいました)、疑似餌+釣り針付きのもつれた糸を解くのに相当な時間と体力を消費することになるので注意が必要です。どうしても絡んだ糸が解けない場合、やむなく糸を切断するという最悪の事態となります。これだけは回避しなければなりません。

一本の釣り糸に4つの疑似餌を付けているので、(疑似餌の中には返しの付いた鋭い釣り針が仕込まれています)糸を海中に投げ入れる際は、自分の疑似餌同士が絡まない様に細心の注意をして、一つ一つ順序良く投げ入れます。船頭さんの言う「今日は60㍍まで」或は「80㍍まで」という指示通りの深さまで落とすことになります。

釣り竿に付いている電動リールには水深計もついていました。これは漁船に装備された魚群探知機でイカの群の位置を確認して教えてくれるので、イカの魚影の濃い水深に合わせ釣り糸を垂らすことが出来ます。最近は、船頭さんの永年の「勘」に頼るわけではない様でした。

指定された深水まで錘が伸びると、手元を大きく上下に振り上げたり、落としたりを何度も繰り返します。 この動作は「疑似餌」があたかも生きているかの様に躍らせて、イカがおびき寄せられて、疑似餌にまんまと食いついて来るのを待つのです。

この動作が中々面白い。初めの内は潮の流れなのか、イカの「当たり」(疑似餌に食らいついて来る感触)なのかまったく区別できませんでした。ところが、「当たった」瞬間の釣竿のしなり様は半端ではありません。一挙に海の底まで引き込まれる様な、凄まじい感触に驚きました。この瞬間「掛かった」という喜びで全身に衝撃が走ります。勢いよく、釣り竿を持ち上げ、しっかりイカを引き戻します。即、電動リールのスイッチを入れて、釣り糸を巻き上げます。待つ事10数秒か20秒、見事なイカが姿を現します。

釣り針は、返しがあり、足一本だけでも針にひっかかったイカは逃げる事は出来ません。釣り上げた後、釣り針のとんがりを下に向けてやると、簡単にイカは外れ、生け簀に放す事が出来ます。

イカは釣り上げられると、必死に逃げようと抵抗して、真っ黒い墨を吐きます。自分の釣りあげたイカに引っ掛けられるのは我慢できますが、隣の釣客の釣り上げたイカに墨を顔に掛けられるのは我慢出来ません。釣ったイカを生け簀に放つと白かったイカが、赤みがかった黒色の体色に変化しています。これは興奮して怒った色だそうです。その内に、少し落ち着くと明るい薄い赤色に変化していくことが分かりました。

途中、持参した弁当を食べながら釣り続け、初心者にしては上出来な70-80パイものイカを釣り上げました。自分自身興奮し、ドーパミンが出まくり、忘我の境地でした。眠気も弾け飛び、オールナイトで大自然との『格闘』を愉しむことが出来ました。

K先輩はベテランらしく100パイ以上釣り上げていました。それに、最近業務用の大型冷凍庫を購入したそうです。内臓を取って保存すれば半年間は冷凍保存出来ると言われました。

翌朝、港に帰り、眠い目を擦りつつ2時間の高速道路を運転してどうにか名古屋に戻りました。まず、釣ったイカを刺身で食べてみました。頭の三角形の中心部分が緑色に点滅して光り、切られてもなお、体色が赤、赤黒、白とまだら模様に変化していく生きたイカを食べました。

自分で釣ったイカを食べる事がこんなにうれしい事を初めて知りました。また、釣ったイカを人に食べてもらう事はもっと楽しいことも知りました。

次回、もし機会があれば、同じく若狭湾でのタイ、金目鯛、ワラサ(小型のブリ)釣りの体験談を語らせて頂ければと思います。

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