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おすすめ映画『山羊座のもとに』(1949/アルフレッド・ヒッチコック監督)感想‣ヒッチコックの自他共に認める失敗作という評価に驚き!?

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『山羊座のもとに』のあらすじ概要

サスペンス映画の神様アルフレッド・ヒッチコックが、イングリッド・バーグマン&ジョセフ・コットン主演で描いたドラマ。

イギリスの流刑地だった19世紀オーストラリア・シドニーが舞台。かつて犯罪者としてこの地へ送られながら、服役後の努力で一代で財を築きあげた街の有力者フラスキーの元に、一攫千金を狙うイギリス総督の甥チャールズがやって来ます。チャールズはフラスキーの妻ヘンリエッタが心を病んでいることを知り、彼女を救おうとしますが……。

イギリスでトランスアトランティック・ピクチャーズの監督2作目として、バーグマンを主演に起用した本作『山羊座のもとに』を撮影しましたが、興行的にも批評的にも失敗、観客が期待した(それまでの作品のような)スリラーの要素が少なかったことや、公開時にイングリッド・バーグマンが不倫関係のスキャンダルを報道されたことが理由とされています。その影響でトランスアトランティック・ピクチャーズは活動を停止。しかし、後にヒッチコックのカルト的映画となって評価を取り戻している作品です。

1949年製作/117分/イギリス
原題:Under Capricorn(原題は、オーストラリアを二分する南回帰線に因むと同時に、やぎ座のヤギが「肉欲」の象徴であることにも因んでいるという)

ロッテントマト批評家支持率:63%

『山羊座のもとに』のスタッフとキャストについて

アルフレッド・ヒッチコック監督

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イングリッド・バーグマン( フラスキー夫人、ヘンリエッタ):本作では、『汚名』『白い恐怖』に続きイングリッド・バーグマンが起用されました。名作「カサブランカ」(42)を経て、「誰が為に鐘は鳴る」(43)でアカデミー女優賞に初ノミネートされ、続く「ガス燈」(44)で受賞しています。「聖メリーの鐘」(45)でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞しています。

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ジョゼフ・コットン(大地主サム・フラスキー。元妻の家の馬の世話係、殺人の罪を着せられ7年の刑によりオーストラリアにやってきます。上流階級に対する深い嫉妬心を持つ):『ガス燈』でイングリッド・バーグマンと共演しています。

マイケル・ワイルディング(イギリス提督の甥チャールズ、ヘンリエッタとは幼馴染):

マーガレット・レイトン(ミリィ、狡猾で饒舌な召使、従順そうに見えるが裏で色々画策してサムとヘンリエッタの関係を壊そうとしている):

『山羊座のもとに』のネタバレ感想・見どころ

ネタバレ有り、閲覧ご注意!!

ちょっと複雑なストーリーで分かりづらい部分もありましたが、ラストはハッピーエンドに上手くまとめ上げられていました。一時は元囚人の再犯という事で”絞首刑”という言葉も飛び交い恐ろしい結末を予想させました。ヘンリエッタの幼馴染チャールズの見事な”証言”で夫サムは無罪放免となります。

いくつもの小さな恋心が絡み合っていました。チャールズからヘンリエッタに対する恋、更には予想もしなかった女召使ミリーから主人サムに対する”横恋慕”!(これは恐ろしい悪巧みがあり、ヘンリエッタは命を奪われそうになります。それ以前に、大量のアルコールを毎晩の様に飲ませられアル中にさせられていたという深い闇がありました)

さらに、サムがオーストラリアの刑務所で7年間の刑期に服していましたが、これは元々妻ヘンリエッタ自身が実兄を銃で撃ち殺した事をひた隠し、彼女の罪をサムが身代わりとなり償ったという事実が判明し、びっくり仰天しました。本来相思相愛の仲で強い絆で結ばれた二人でした。7年もの長い刑期を乗り越えて一緒暮すことが出来た二人ですが、新たな試練が待ち受けていました。妻が精神的に患う様になり、ふたりの仲は急激に冷えて行ってしまいました…

サムのオーストラリアでの華々しい成功の裏に、心から喜べない理由は、精神を病んでしまった妻の痛々しい姿がありました。

そんな中、チャールズの突然の出現は硬直した世界に新たな風を吹き込むことになりました。何も知らない彼は、幼馴染ヘンリエッタを必死に表に出して、立ち直らせようと努力します。一瞬だけ幼馴染への恋心を思い出した気の緩んだところもありましたが…運悪くミリーに目撃されてサムに告げ口をされてしまいます…

本作はミステリー仕立てではなく、恋心の錯綜する人間ドラマとしてハラハラドキドキしながら見る事が出来る作品だと思います。絶対絶命のサムの命運がどちらに転ぶか最後までまったく分からないという、緊張感の継続、ここにヒッチコック映画の醍醐味をじっくりと感じる事が出来ました…

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