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劇場公開中 おすすめ新作映画『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』(2022/ジェームズ・グレイ監督)感想‣終末論の時代を背景に描かれたほろ苦、成長物語!

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『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』のあらすじ概要

「エヴァの告白」「アド・アストラ」のジェームズ・グレイが監督・脚本を手がけ、自身の少年時代の実体験をもとに撮りあげた人間ドラマ。本作はグレイ監督が1980年代初頭に通っていたキーフォレスト校での体験を基にした半自伝的映画となっています。

1980年、ニューヨーク・クィーンズ地区。ウクライナ系ユダヤ人の中流家庭に生まれ育ち、公立学校に通う6年生12歳の少年ポールは、PTA会長を務める教育熱心な母エスター、働き者でユーモア溢れる父アーヴィング、私立学校に通う優秀な兄テッドとともに何不自由なく暮らしていました。

ポールは芸術への高い関心を示していましたが、近頃は家族に対していら立ちと居心地の悪さを感じる日々が続いていました。良き理解者である祖父アーロンだけが心を許せる存在でした。想像力豊かで芸術に関心を持つポールは学校での集団生活にうまくなじめず、クラスの問題児である黒人生徒ジョニーは唯一の打ち解けられる友人となっていましたが、学校のトイレで煙草(薬物入り)を吸ったことが切っ掛けで2人の友情は徐々に崩れ去って行きます…2人のその後は大きく分かれることになります。

主人公の母をアン・ハサウェイ、祖父をアンソニー・ホプキンス、父をジェレミー・ストロングが演じた。2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

2022年製作/115分/アメリカ
原題:Armageddon Time

ロッテントマト批評家支持率:90%

つい最近見た少年時代を回顧する映画➢

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『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』のスタッフとキャストについて

ジェームズ・グレイが監督・脚本・製作:米ニューヨークのクイーンズ出身。南カリフォルニア大学の映画芸術学部で映画製作を学ぶ。25歳のときに発表した長編監督デビュー作「リトル・オデッサ」(94)で、アメリカの夢と現実の合間でもがく人々の姿を描き、ベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞しています。

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アン・ハサウェイ(ポールの母親エスター):PTA会長を務めたり、教育委員長候補に立候補するなど極めて教育熱心な母親役を演じています。

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アンソニー・ホプキンス(ポールの祖父アーロン):第二次世界大戦下、家族と共にウクライナからアメリカに移民したユダヤ人で、相当な苦労をしている。唯一とも言って良いほどポールの良き理解者となっている。

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ジェレミー・ストロング(ポールの父親アーヴィング):米マサチューセッツ州ボストン出身。イエール大学で英語学を、英ロンドンの王立演劇学校で演劇を学ぶ。

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バンクス・レペタ(ポール):美術の才能は有りそうだが、学業には余り実が入らず、家庭内でも勝手し放題で、かなり我が儘に育てられてしまった。良き理解者である祖父アーロンだけには極めて従順な性格。また、クラスの問題児黒人少年ジョニーとはウマが合い付き合い始めるが、行動の好悪の判断が出来ないまま、ズルズルと良からぬ方向に引っ張り込まれてします。

ジェシカ・チャスティン(マリアン・トランプ・バリー):トランプ元大統領の姉で、合衆国裁判官役で出演。

『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』のネタバレ感想・見どころ

ネタバレ有り(ご注意!)

普通であれば夢と希望に包まれた黄金の少年時代の回想にちょっとした辛口経験などを織り交ぜる味付けをして、今日の人間形成の”困難な道”を描く半自伝映画が多い中、本作はかつての”半自伝的映画”と明らかに一線を画す内容でした。びっくり仰天しました。

不良とまでは言わずとも、まったくどうしようも無い少年として描かれています。相手にしてくれるのが6年生を一度落第している問題児の黒人少年ジョニーだけでした。似た者同士(はぐれ者同士)の微妙な友情が芽生えるのは良いのですが、学校で麻薬入りの煙草を隠れて吸うなどの問題を起こします。両親は怒り心頭、この気持ちも分からないではありません。しかし、部屋に閉じこもるポールのドアを蹴破り、猛烈な折檻は頂けません…

ジョニーが行き場所を失い、兄を頼りフロリダに行く希望を話すと、学校のパソコンを盗み出し、換金してフロリダに一緒に行こうとポールは提案します。呆気なく警察に見つかり、捕らえられてしまいます。多分ポールの罪を被ったジョニーは少年鑑別所に入れられてしまい、何やらとんでもない人生に迷い込むことは見えていました。(ちょっと後味は悪い部分でした…)

ポールが転校する事になったエリート校の同級生から「黒人と付き合うな」と言われます。そのことを祖父アーロンに話すと、「そんな事を言う奴がいたらぶん殴れ」という意味(はっきり覚えていません)の言葉が返ってきました。しかし、12才の少年に取って正しいと思う自分の意思を貫くのもかなりの困難を伴うと(今も昔も)感じました。

警察署から理由はどうあれ、自分だけ何事も無かった様に釈放されます。一人でポールの分の罪まで被ったジョニーが気の毒でなりません…

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