『しあわせの雨傘』のあらすじと概要
「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督とカトリーヌ・ドヌーブが再びタッグを組んだコメディ。1970年代の後半、セレブ主婦のスザンヌは、毎朝のジョギングが日課の幸せなブルジョワ妻でした。雨傘工場を経営する亭主関白な夫ロベールと優雅で退屈な毎日を送っていましたた。ある日、心臓発作で倒れ療養する夫ロベールに代わり、スザンヌが工場の運営を任されることになります。彼女は主婦ならではの感性を駆使するとともに、子ども、昔の恋人、工場の従業員たちの協力を得て予想外の本能が目覚め、傾きかけていた工場を見事に立て直していきますが……。
2010年製作/フランス
原題:Potiche
『しあわせの雨傘』のスタッフとキャストについて
フランソワ・オゾン監督:
➢おすすめ映画『婚約者の友人』(2017/フランソワ・オゾン監督)感想‣戦争を背景にしたオゾン流ミステリーと恋愛ドラマ、衝撃の真実に堪えられるか?
カトリーヌ・ドヌーブ(スザンヌ):雨傘工場を経営する夫を持つセレブ主婦、太ったおばちゃん役。とにかく人柄は良く、人当たりも良い。父親の代から続く雨傘工場を愛してやまない女性。
➢おすすめミュージカル映画『8人の女たち』(2002/フランソワ・オゾン監督)感想‣カトリーヌ・ドヌーヴら8名の女優が歌って踊る”ミステリー”!
ジェラール・ドパルデュー(ババン市長、労働組合の有力者):個人的にシュザンヌとの関係が、びっくり仰天の回想シーンで表現されます。
➢上映中 新作映画『メグレと若い女の死』(2022/パトリス・ルコント監督)感想‣薄曇りのパリの街並みとクラシカルな装いで存在感を示す巨漢ドパルデュー
ファブリス・ルキーニ(スザンヌの夫ロベール):絵に描いたような亭主関白な夫で、妻の言葉を一切聞こうとも思っていない。心臓に持病を持ち常備薬が手から離せない。
➢映画『親密すぎるうちあけ話』(2004/パトリス・ルコント監督)感想‣孤独な男女の織りなす緊張感ある感情の駆け引きを描くロマンティック・コメディ。
『しあわせの雨傘』ネタバレ感想・見どころ
70年代フランスの田舎町が舞台。早朝元気に赤い体操着を身に着け、ジョッギングするのはちょっと太めになった”カトリーヌ・ドヌーブ”、21歳当時主演した大ヒット映画『シェルブールの雨傘』(64)から既に40数年が過ぎてはいるものの、美貌は衰えを見せていません。『雨傘』という事で、ちょっぴり懐かしさを感じさせる題名でした。(ストーリーは全く関連無し)
雨傘会社を経営する夫ロベールの元で何不自由なく暮らすシュザンヌは夫からは『置き物の壺』扱いされていました。元々シュザンヌの父親が立ち上げた雨傘工場でしたが、あまりに融通の利かないロベールの元では工場労働者のストライキが起きる不穏の雰囲気となっていました。
そんな中、心臓に持病を持つロベールは病院に入院してしまい、長期療養する事になります。その間、暫定的に工場の経営を引き継いだスザンヌは思わぬ”才能”を開花させ、また、息子・娘にも経営に加担させることで、うまく業績の回復を図ります。
長期療養から戻った夫ロベールの工場内での居場所は無くなってしまいます。それを面白く思わないロベールは何とか社長への返り咲きを目論む事になります。
本編で一貫しているのはスザンヌの人柄の良さ、鷹揚さ、陰日向の無い明るい性格です。若い頃の”天真爛漫”行動振りには、びっくり仰天させられるシーンもありましたが、これも大らかな人柄のせいなのかも知れません。また、工場従業員の要求を悉く呑んで、労働争議を解決してしまう太っ腹ぶりには本当に経営者としての才覚があるのか、ちょっと疑問ではありましたが…主婦としての退屈な日々の暮らしから一転、”社長”として生き生きとやる気満々の姿は非常に眩しく映りました。
ハートフルコメディー映画です。無理して取って付けたようなお色気シーンなどもあり。何となくフランソワ・オゾン監督作品である事を忘れてしまいそうになる程、オゾン監督の他作品とは味わいが異なる事に驚く作品ではないかと思います。なお、『シェルブールの雨傘』を見直したい気持ちにさせてくれた映画です…
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