『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』のあらすじと概要
マリオン・コティヤール主演の「エディット・ピアフ 愛の讃歌」のオリビエ・ダアン監督が、女性初の欧州議会議長となったフランスの政治家シモーヌ・ベイユの人生を映画化。
1974年、パリ。カトリック人口が多数を占め、男性議員ばかりのフランス国会で、シモーヌ・ベイユは圧倒的な反対意見をはねのけて中絶法の可決を実現させます。1979年には女性として初めて欧州議会議長に選出され、理事たちの猛反対にあいながらも「女性の権利委員会」を設置。女性のみならず、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など、弱者の人権のために闘い続けました。その不屈の意志は、かつて16歳で家族とともにアウシュビッツ収容所に送られたという過去の壮絶な実体験の中で培われたものであったことも描かれています。
「パリ、嘘つきな恋」のエルザ・ジルベルスタインが40代以降のシモーヌ、「スザンヌ、16歳」のレベッカ・マルデールが10〜30代のシモーヌをそれぞれ演じた。
本作は本国フランスで240万人を動員し、2022年フランス国内映画の年間興行成績No.1の記録を樹立しています。
2021年製作/140分/フランス
原題:Simone, le voyage du siecle
『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』のスタッフとキャストについて
オリビエ・ダアン監督・脚本:
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エルザ・ジルベルスタイン(ㇱモーヌ・ヴァイユ 68-06)/レベッカ・マルデール(ㇱモーヌ・ヴァイユ 44-65):
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ㇱモ―ヌ➢1927年に生を受け、母から「学び働くべき」と教えられて育つ。16歳の時にゲシュタポに検挙され、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所に移送されます。そこでは地獄のような環境下で母を亡くしますが、姉と共に奇跡の生還を果たしています。帰国後、司法官を目指して大学へと進学、19歳でアントワーヌ・ヴェイユと結婚、三人の子を産んだ後、1957年に司法省刑務所管理局に配属され、囚人たちに対する劣悪な環境改善に取り組みました。
1974年に保健大臣に抜擢されると、社会問題化していた避妊に正面から向き合った。翌年、通称「ヴェイユ法」と呼ばれる人工妊娠中絶法案の合法化を実現しています。
1979年、直接選挙によっての初代欧州議会EC(現在のEU)議長に選出されています・・・
『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』のネタバレ感想・見どころ
当時男性中心社会のフランスにおいて、女性のみならず、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など、弱者の人権のために闘い続けた姿が非常に眩しい存在として描かれていました。議会の様子は”旧勢力”の猛烈な反対の嵐の中でも、不屈の闘志を剥き出しに口舌鋭く演説する姿は男性顔負けでした。
映画は現在と過去の情景を錯綜させながら、時系列を飛び越えて次々に映し出されていきます。それぞれの年代の3人の”シモ―ヌ”が異なる役者によって演じられていきます。
第二次世界大戦中はフランス国内のユダヤ人もゲシュタポに逮捕されてアウシェビッツなど収容所送りになり、その多くが犠牲になっていく様子も描かれていきます。終戦も近い時期の”死の行進”の場面では目も覆いたくなる様な光景を目にする事になります。人間の仕業とはとても思えません。
しかしながらシモ―ヌら姉妹はこの世の地獄の淵を見乍ら、奇跡的に生き延びる事が出来ました。フランスへ帰国後は、”司法官”を目指して大学へと進学、19歳でアントワーヌ・ヴェイユと結婚、三人の子を産んでいます。そして、表舞台では不屈の大活躍をしますが、夜毎戦争中に味わった苦しみがトラウマとなり蘇り、自分自身を苦しめている様子も映し出されます。
本作は一人の女性政治家の伝記映画ですが、2つのテーマを取り上げています。一つはナチのユダヤ人に対する想像を絶する悪行三昧の糾弾、二度と同じような事を繰り返してはいけないという反戦の強烈なメッセージです。もう一つはㇱモーヌ・ヴァイユという”政治家”の女性、弱者、エイズ患者、刑務所の囚人等々に対する救いの手を差し伸べるべきだという”不屈の信念”を吾々も受け継いでいくべきという事。政治を”政治家”任せにせず、何か我々にも出来る事があるのではないかと思いを新たにしました…
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