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おすすめの歴史小説『小説 立花宗茂 全一冊』(童門冬二著 集英社文庫) 感想‣関ケ原後改易浪人から大名に復帰!鎮西一の武将の波乱万丈

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『小説 立花宗茂 全一冊』の概要とあらすじ

関ヶ原の敗将で、大名に復帰した例は宗茂以外にはない。大友宗麟の二人の忠臣を実父、義父とし、幼少時より合戦の心構えを厳しく教え込まれた宗茂は、その人柄を見込まれて立花道雪の養子となる。豊臣家への恩義を忘れず、関ヶ原の合戦では石田三成に味方して敗れるが、その後徳川秀忠に重用され、柳河藩の藩主に返り咲く。人間として筋を通した武将の、感動の生涯。(「BOOK」データベースより)

『小説 立花宗茂 全一冊』の感想

九州柳川藩の藩主だった立花宗茂を主人公に取り上げた歴史小説です。九州柳川は40年ほど前の7月、大学一年の頃剣道の試合の応援に福岡訪問の帰りに立ち寄りました。随分昔ですが、よく覚えています。当時は立花宗茂という人物の知識は無く、「お花」という旧藩主の屋敷の一部が一般公開されている建物を見学しました。その中で今でも印象に残っているのは、廊下の壁伝いに掛けられた多数の勇壮な兜でした。説明では秀吉の命令を受け出兵した朝鮮で大活躍された武将、その時従軍した兵が実際に着用した…などを書かれていた事をうっすらと覚えています。柳川城の城郭は現在は存在せず、現在も残る掘割を船で巡りました。堀の石垣にはやや大きめの多数の蟹がへばりついていたのには驚きました。多分取って食べたらお美味しかったかもと思いつつ船を下船しました。

昼飯のお目当ては柳川名物「鰻の蒸籠蒸し」、関東の鰻とどう違うのか学生だったこともあり、全く分からず「こんなものか・・・」と納得したものです。

前置きが大変長くなってしまいましたが、今回本作『小説 立花宗茂 全一冊』を読む切っ掛けとなったのは今村翔吾著『塞王の盾』でした。その中に「鎮西一の武将』とその活躍・武勇を絶賛され、関ケ原の合戦直前近江大津城に籠城する東軍京極高次を攻めたてる凄まじい攻防戦の立花宗茂の様子が描かれていました。

関ケ原の合戦では恩義がある豊臣方西軍に味方し敗戦。家康により柳川藩は改易され、”浪人”となりながらも、後に旧領柳川藩に奇跡の返り咲きを果たしています。こんなことが常識的にはあまり考えられません。立花宗茂という一体全体どのような人物で、何が起こったのか非常に興味を引かれました。そして、数多くある立花宗茂本の中で偶々童門冬二著の本書を読み、疑問はすっかりクリアになり、その人物の素晴らしさが良く分かり改めて感動させられました。

一方、宗茂の旧領復活となる切っ掛けを作った「徳川秀忠」の人間を見る目にも改めて感心させられました。(関ケ原の戦い参戦しようと中山道を急ぐものの、信州真田軍に手こずり決戦に遅参するという失態ばかり描かれています)一度、徳川家に歯向かった人物を秀忠は自身の『顧問』に召し上げ、後に棚倉藩1万石の大名に取り立てています。これを突破口として柳川への返り咲きが達成されています。

武将としての戦略・戦術の能力は勿論、やはり第一に重要なのは主君への忠義一筋で生きた事が結果的には人生を切り開く原動力になったのかもしれません。また、どんな状況になろうと家臣、領民の事を決して忘れなかったことも好結果を生んでいます。

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『小説 立花宗茂 全一冊』の世間一般的な意見はどんなものがあるのか?

「読書メーター」他に一般公開されている感想を抜粋させてただ来ます。総じて好評の意見が多いです。

天下を制した武将と比べると知名度も低く、あまり知られていない武将ですが、私は大好きです。
このような方の小説を読むのが好きで、特に童門さんの小説は私に合っているのか読みやすく
ついつい購入してしまいます。

最近立花道雪の話を読んで興味を持ちました。実の父高橋紹運もめちゃくちゃ偉大!そして誾千代も憎まれ口を叩きながらも心のなかでは宗茂を大事に思っている。西国無双というイメージが強かったですが、更に理想の上司像になりました。

初の童門冬二は、名前こそ知ってはいるが、いまいち経歴をよく知らない人物・立花宗茂。高橋紹運の子にして、立花道雪の娘婿だったんですね。大友宗麟や龍造寺隆信、鍋島直茂あたりの九州の有名どころの関係も知れてなかなか勉強になる一冊でした

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