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オートロックに閉め出された夏 – サンダルと短パンで28階の廊下に立ち尽くす

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旅の随筆
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1999年春、広州の花園酒店から、天河駅前の中天広場マンションに引っ越した。香港熊谷組の新築。会社が購入した部屋だ。オフィスも同じビルに移転し、徒歩通勤は楽になった。

夏休み、日本人家族が帰国で街を離れた頃、事件は起きた。

ゴミ出しで廊下に出た。ドアに戻ると、鍵がない。サンダル、短パン、半袖。ポケットを探すまでもない。オートロックは体当たりしたくらいでは、ピクリとも動かない。近隣の住民に不審人物とみられてしまう。

地下の管理人室へ。「マスターキーはセキュリティ上、ありません」

28階の自宅。財布もパスポートもスーツも靴も中。最悪、家族が帰国するまでホテル住まいか。28階の窓からの侵入を想像してぞっとした。

呆然としていた時、同じマンションの先輩家族を思い出した。夕食時、突然の訪問。奥様は食事の準備中。ご夫婦に苦しい事情を話すと「いい所に来た、ビールでも飲もう」と。

日本人学校に通うお子さん二人、「なんだこの親父、こんな格好で夕飯時に」と思っただろう。おかずまで横取りして申し訳なかった。

ビールを飲みながらも気が気でない。すると奥様が「あいさんは鍵持ってるんじゃない?」

あいさんとは、通いのお手伝いのおばさん。だが連絡先が分からない。奥様が駐在妻ネットワークを駆使し、電話番号を探してくれた。電話すると、あいさんがわざわざ鍵を持ってきてくれた。

命拾いした後のビールが、最高に美味かった。

教訓:オートロックの鍵は首からチェーンでぶら下げろ。

 

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