『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』のあらすじと概要
「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラが、「めぐりあう時間たち」のニコール・キッドマン、「ネオン・デーモン」のエル・ファニング、「マリー・アントワネット」のキルスティン・ダンスト、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のコリン・ファレルら豪華キャスト共演で撮りあげた長編監督第6作。
1971年の監督ドン・シーゲル、クリント・イーストウッド主演作「白い肌の異常な夜」の原作であるトーマス・カリナンの小説「The Beguiled」を女性視点で映画化し、第70回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。
南北戦争期のアメリカ南部。人里離れた森の中にあるファーンズワース女子学園には、実家に帰ることができない少女たちが5人、教師のエドウィナ、校長のマーサ、計7人の白人女性が密やかに暮らしていました。白を基調に色あせたパステルカラーのドレスを纏ったうら若い女性たちが、鬱蒼とした森に囲まれた白い瀟洒な館で暮らしています。戦闘で怪我を負った北軍兵士の男が偶然に森の中から助け出され、学園の中で匿われることになります。女性に対し紳士的で美しいその兵士を介抱するうちに、全員が彼に心を奪われていきます。やがて彼は居心地の良さを感じるようになり、一人で歩けるほどに脚が回復した後も、庭番として学園に残ることを望むようになります。
しかしながら、やがて情欲と危険な嫉妬に支配されるようになった女たちは、ある決断を下すことになります。
2017年製作/93分/アメリカ
原題:The Beguiled
ロッテントマト批評家支持率:78%
『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』のスタッフとキャストについて
ソフィア・コッポラ監督・脚本・総指揮:父親は映画監督のフランシス・フォード・コッポラ。父親が監督した「ゴッドファーザー」(72)と続編「PART2」(74)に端役で映り、最終章「ゴッドファーザーPART3」(89)でアル・パチーノの娘役を演じたていました。
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コリン・ファレル(ジョン・マクバニー・北軍伍長):ジョエル・シュマッカー監督の「タイガーランド」(00)で高く評価され、「ジャスティス」(01)や「マイノリティ・リポート」(02)といったハリウッド作品に抜てきされる。その後、シュマッカー監督と再びタッグを組んだ「フォーン・ブース」や、「S.W.A.T.」(ともに03)などの話題作に出演。
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ニコール・キッドマン(マーサ・ファーンズワース:校長):オーストラリア人の両親のもと、シドニーで育ち、幼い頃からバレエや演技に興味をもつ。舞台に立つようになり高校を退学して女優業に専念した。
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キルステン・ダンスト(エドウィナ・モロー:教員):94年「インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア」でトム・クルーズと共演し、注目を浴びる。その後、TVシリーズ「ER 緊急救命室」(96~97)や、ソフィア・コッポラ監督「ヴァージン・スーサイズ」(99)といった劇場映画に出演。サム・ライミ監督の「スパイダーマン」シリーズ(02~07)で、ヒロインのメリー・ジェーン・ワトソン(MJ)役を演じ、人気を博す。
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エル・ファニング(アリシア):1998年生まれ、アメリカ/ジョージア州出身。
『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』のネタバレ感想
ジョン・マクバニー伍長は命を救われたにも関わらず、学園内の女性に対して色目の使い過ぎで自業自得の運命だったのではないかと思います。ある晩エドウィナは衝撃的なシーンを目撃した為、嫉妬に駆られ、思わず彼を突き飛ばし、階段から転がり落ち、足を切断されるという悲劇は自分が種を蒔いたものでした。
それにしても、学園長から、教師、幼い生徒に対してまで満遍なく気を使い、愛想を振り撒く伍長に何か”恨み”でもあるのかと勘繰りたくるような、本当に哀れな結末には少々びっくり仰天しました。「北軍の兵士も、わたし達と同じ人間でした」という言葉があったり、食事の前には神様に感謝を言いましょう、、など厳しく躾けられていますが、最後には毒キノコが使われるという、『手のひら返し』はあまりに酷いのではないでしょうか!
南北戦争の戦時中、しかも、近くでは砲火も上がっているという緊迫した状況、女性7名のみで固まって何とか生き伸びざるを得ない閉塞感の漂う環境の中で、久し振りに外部の人間(しかも若い兵士)と触れる事が出来た”開放感””好奇心”、或はすっかり忘れていた自分が女であるという感情の発露を感じたのかもしれません。好意・愛情を持って接していたにも関わらず、逆上されたことで”裏切られた”という思いは、余りにも大きな反動となり代償はあまりに無慈悲!
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