アンダーソン監督の映画では、一瞬だけ映り、よく目を凝らさないと見逃してしまいそうになる小物にまで深いこだわりを持っています。特徴的な小物やファッションで、そのシーンの登場人物の関係性、心情、性格を表現しているといいます。この拘りは、最近見た映画『ヒッチコック/トリュフォー』でヒッチコック監督の映画作りの拘りの一つである事が分かりました。また、細大の特徴は左右対称な画面構成です。どのシーンを切り取っても、真正面、真横、真上、真後ろのアングルのみで撮影しているという大変風変わりで、腹を抱えて笑いたくなる様な摩訶不思議なカメラワークは監督独特のものです。
米フォーカス・フィーチャーズが、ウェス・アンダーソン監督の新作「Asteroid City(原題)」を2023年6月16日から米限定公開、6月23日から拡大公開すると発表しています。
アンダーソン監督とロマン・コッポラが共同で脚本を執筆、”1955年のアメリカの砂漠の町と、そこで行われる学生たちの天文観測大会を舞台に、全国から集まった学生と親たちがさまざまなドラマを繰り広げる”というストーリーだそうです。日本での新規公開が今から大変に楽しみです…トム・ハンクス、マーゴット・ロビー他超豪華出演陣にも目を見張ります。
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021)
「グランド・ブダペスト・ホテル」「犬ヶ島」のウェス・アンダーソン監督が、20世紀フランスの架空の街にある米国新聞社の支局で働く個性豊かな編集者たちの活躍を描いた長編第10作目。様々な国を舞台にしたコスモポリタンな作風が特徴であり、本作は雑誌The New Yorker誌への賛辞とともに、フランスとその文化に対する敬意と愛情が満ち溢れていました。
国際問題からアート、ファッション、グルメに至るまで深く切り込んだ記事で人気を集めるフレンチ・ディスパッチ誌。編集長アーサー・ハウイッツァー・Jr.のもとには、向こう見ずな自転車レポーターのサゼラック、批評家で編年史家のベレンセン、孤高のエッセイストのクレメンツら、ひと癖もふた癖もある才能豊かなジャーナリストたちが揃っていました。
ところがある日、編集長が仕事中に急死し、遺言によって廃刊が決定してしまう。何が飛び出すか分からない追悼号にして最終号が如何に作られていくか…
公開中 おすすめ新作映画感想|『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021/ウェス・アンダーソン監督)3つの記事をオムニバス形式で描いた物語
『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)
オーストリアの作家ツワイクにインスピレーションを受けたという監督は、本作ではヨーロッパ大陸の東端にあるという仮想の国ズブロフカ共和国を舞台とする物語を映像化しています。この国にあるヨーロッパ随一の高級ホテル、富裕層が多く集まる、誰もが憧れる華やかなホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」を取り仕切り、伝説のカリスマ的コンシェルジュと呼ばれるグスタヴ・Hと若いベルボーイの交友を描いた作品。
究極のおもてなしを信条とし、宿泊客のマダムたちの夜のお相手もこなしていました。ホテルには彼を目当てに多くの客が訪れますが、ある夜、長年懇意にしていたマダムDが自宅(城)で何者かに殺害されるという事件が起こります。マダムDの遺産相続をめぐる騒動に巻き込まれたグスタヴ・Hは、ホテルの威信を守るため、信頼するベルボーイのゼロ・ムスタファを伴い、ヨーロッパを駆けめぐることになります。
その後、マダムDの殺人容疑で逮捕・監獄に収容、脱獄し、その後更なる苦難の道を歩むことになります。
おすすめ映画|『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014/ウェス・アンダーソン監督)高級ホテルのコンシェルジュとベルボーイが繰り広げる不思議な大冒険
『犬ヶ島』(2018)
「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督が日本を舞台に、「犬インフルエンザ」(犬の伝染病「ドッグ病」と「スナウト病」)が蔓延し始めた為、離島に隔離されてしまいます。自分の愛犬を探す少年と犬たちが繰り広げる冒険を描いたストップモーションアニメ。
近未来の日本。メガ崎市で犬インフルエンザが大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることになります。12歳の少年・小林アタリは愛犬スポッツを捜し出すため、たった1人で小型機を盗んで犬ヶ島へと向かいます。
おすすめ映画感想|『犬ヶ島』(2018/ウェス・アンダーソン監督)「犬インフルエンザ」の蔓延によって離島に隔離された愛犬を探す少年と犬たちの冒険
『ダージリン急行』(2007)
疎遠になっていたホイットマン3兄弟でしたが、それぞれの人生で悩み迷いを持っていました。そして、1年前の父の死をきっかけに3兄弟は、オートバイ事故で瀕死の重傷を負いながらまも一命を取り留めた長男フランシスの呼びかけで、この列車の旅で再び兄弟の絆を固めようと皆に誓い、次男ピーター、三男ジャックの3人が揃い、魅力に溢れたインドを横断し、秘境を巡る列車旅行に出ます。しかし、そんな彼らには数多くの予想外の出来事が待ち受けていていました……。
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のウェス・アンダーソン監督が描く、3兄弟の心の再生の旅。
映画『ダージリン急行』(2007/ウェス・アンダーソン監督)感想‣ウェス・アンダーソン・ワールドの魅力炸裂!ポップなアート感覚で見せる不思議なインド!
『アンソニーのハッピー・モーテル』(1996
「天才マックスの世界」「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の鬼才ウェス・アンダーソンが、盟友オーウェン&ルーク・ウィルソン兄弟主演で手がけた記念すべき長編デビュー作。ウェス・アンダーソンが自ら撮った短編映画『Bottle Rocket』(94)を劇場用にセルフリメイクした作品。ウィルソン兄弟が泥棒を演じ、俳優としての商業映画デビュー作ともなっています。
アリゾナ州の精神病院から退院したばかりの青年アンソニーは、彼が”脱走”してきたと信じ込む少々ネジの外れた相棒で変わり者の親友ディグナンが企てた強盗計画を手伝うハメになります。手始めに、まずは郊外の本屋を襲撃してモーテルに潜伏しますが、アンソニーは従業員のイネスにひと目惚れしてしまいます。今度は増えた仲間と一緒に兵器工場兼冷凍倉庫の金庫を狙います。しかし度重なるドジで計画は大失敗、ディグナンは刑務所に送られる事に・・・
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』(1996/ウェス・アンダーソン監督)感想‣アメリカでカルト的な人気を持つ、風変わりなクライム・コメディ
『ムーンライズ・キングダム』(2012)
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」「ダージリン急行」のかなりユニークな登場人物が繰り広げる物語に定評のあるウェス・アンダーソン監督が、1960年代の米東海岸ニューイングランド島を舞台に、教会で「ノアの箱船」のお芝居が上演された時に出会ったサムとスージーは、一年間の文通を通じて恋心を深め、遂に台風が島を襲う三日前に駆け落ちを敢行したことから始まる騒動を、独特のユーモアとカラフルな色彩で描いた異色のコメディ映画。
周囲の環境になじめない12歳の少年サムと少女スージーは、ある日、ボーイスカウト活動を突然抜け出し、駆け落ちすることを決意します。キャンプから勝手に抜け出し森で自由気ままに過ごしていた二人でしたが、島をひとりで守っているシャープ警部や、ボーイスカウトのウォード隊長、スージーの両親ら、周囲の大人たちは2人を追いかけられることになります。小さな島に起こった波紋は瞬く間に島中に広がっていきます。やがて、両親、警部らに取り押さえられるのですが、少年サムの里親が逃亡した彼を里子として再び受け入れる事を拒否したことから、さらに二人の運命が変わっていきます…
映画『ムーンライズ・キングダム』(2012/ウェス・アンダーソン監督)感想‣ユニークな登場人物が繰り広げるとても純真な世界を体験!
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)
崩壊した天才ファミリーの再生をユニークな作風で描き、ウェス・アンダーソン監督が世界的に注目を集めるきかっけとなった異色コメディ。
ニューヨークで暮らすテネンバウム家の3人の子どもたちは、長男チャスはビジネス界で大稼ぎ、長女マーゴは劇作家、次男リッチーはテニス選手として、いずれも幼くして成功を収め、世間から天才児と持てはやされていた。しかし、父ロイヤルの過ちと裏切りにより家を出たことで一家は離散し、子どもたちは問題だらけの大人へと成長する。ある日、妻エセルが恋人から求婚されたことを知ったロイヤルは、彼女に自分の死期が近いことを告げ、一家は22年ぶりに一緒に暮らすことになるが……。
映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001/ウェス・アンダーソン監督)感想‣ウェス・アンダーソンの作品で初めて日本で公開された記念すべき作品
『イカとクジラ』(2005/ノア・バームバック監督)※制作
「ライフ・アクアティック」の脚本家ノア・バームバックが、86年のニューヨーク・ブルックリンを舞台に、ある家族の崩壊を滑稽に描いた自伝的悲喜劇。ニューヨーク・ブルックリンに住んでいる落ち目のインテリ作家である父親バーナードと「ニューヨーカー」誌でデビューを飾ることになっている新進気鋭の流行作家である母親ジョーンの間に生まれた16歳の兄ウォルト、12歳の弟フランクは、ある日両親から離婚することを告げられる。ウォルトは父親に、フランクは母親についていくが、2人とも学校で問題を起こすようになる……。
映画『イカとクジラ』(2005/ノア・バームバック監督)感想/ノア監督の鋭い人間観察眼を通じて、人間の本音の赤裸々な表現に驚く!
『ファンタスティック Mr. Fox』(2009)
『チョコレート工場の秘密(映画:チャーリーとチョコレート工場)』『魔女がいっぱい』で知られるロアルド・ダールの児童書「すばらしき父さん狐」を、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」「ダージリン急行」のウェス・アンダーソン監督が、全編をストップモーション(コマ撮り)・アニメで映画化。アニメ映画として異例の超豪華キャストを声優に迎えています。本作はウェス・アンダ―ソン監督初めて監督したアニメ映画。
映画『ファンタスティック Mr. Fox』(2009/ウェス・アンダーソン監督)映画‣父さん狐は己の欲望の為に愛する家族や仲間を危険にさらす!
『ヒッチコック/トリュフォー』(2015/ケント・ジョーンズ監督)※出演
フランソワ・トリュフォーによるアルフレッド・ヒッチコックへのインタビューを収録し、「映画の教科書」として長年にわたって読み継がれている「定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー」を題材にしたドキュメンタリー。
原作でトリュフォーは1962年8月13日(ヒッチコックの誕生日)にユニバーサル・スタジオのオフィスでヒッチコックに8日以上にもわたるインタビューを行っています。この記録は50時間にも及ぶテープに録音されたそうです。なお、インタビューに至る切っ掛けはトリフォーからヒッチコックに手紙によるインタビューの要請をヒッチコックが涙を流して喜び、快諾したことによります。
映画『ヒッチコック/トリュフォー』(2015/ケント・ジョーンズ監督)感想‣「映画作りとは何か?脈々と繋がる映画文化」について語る10人の映画監督
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