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おすすめ映画感想『ムスタング』(2019/ロール・ドゥ・クレルモン監督)‣馬との交流を通し人間が再生していく姿を描く感動ドラマ

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『ムスタング』のあらすじ概要

ローマン・コールマンはその短気な性格故にすぐに手が出るタイプであり、妻に暴行して重傷を負わせた為に12年間の刑期を受けネバダ州の刑務所で服役していました。ローマンは社会復帰のための懸命な努力を続けていましたが、生まれ持った気質を改善するのは容易なことではありませんでした。ローマンは牧場主のマイルズの下で職業訓練を受けることになりました。そこでは、マイルズが組んだリハビリ・プログラムを受講することになります。そのプログラムはマーキスとという名のかなり気難しいムスタング(野生馬)の調教を通して自身の人格を陶冶していくというものでした。ローマンは5週間後に売却される予定の馬を調教するように命じられましたが…

本作は日本国内劇場非公開作品です。U-NEXTにて視聴

U-NEXT

【背景】

米国の開拓時代を象徴する10万頭以上のマスタングが野生化し現在も国内に生息しています。米政府は毎年数千頭のマスタングを施設で維持する一方、安楽死も実施。数百頭は刑務所へ送られ、オークションの競売を目的とし囚人が調教を行い、その後競売に掛けられ主に警察、国境警備隊などに買い取られます。

本作で描かれるマスタングの調教プログラムは『ホース・ウィスパリング・プログラム』と呼ばれ、コースを終了して出所した囚人の再犯率は、実に4パーセント。ちなみに『犯罪者に対する厳罰化を実施したアメリカでは、5年間で刑務所人口が500パーセントに増加。出所後5年以内の再犯率は、77パーセントに上る』という統計数値もある事から、同調教プログラムは画期的な効果を生んでいる事が分かります。

2019年製作/100分/フランス・ベルギー合作
原題:The Mustang

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B SnuffleupagusによるPixabayからの画像

『ムスタング』のスタッフとキャストについて

ロール・ドゥ・クレルモン=トネール監督・脚本:フランス人映画監督、俳優としてキャリアを積み、本作が長編映画監督デビューとなっています。

ロバート・レッドフォード他製作総指揮

マティアス・スーナールツ(ローマン・コールマン):ベルギー出身。02年から映画に出演し、ベルギー映画「Any Way The Wind Blows(英題)」(06)や「ロフト.」(08)、オランダ映画「My Queen Karo(英題)」(09)で活躍。

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ジェイソン・ミッチェル(ローマンの囚役仲間の一人):米ルイジアナ州ニューオーリンズ出身。2011年、サスペンス映画「キリング・フィールズ 失踪地帯」で俳優デビュー。

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ブルース・ダーン(熱血ベテラン調教師):アルフレッド・ヒッチコック監督が演出するTVドラマや西部劇、ロジャー・コーマンが手がける映画などに多数出演。

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『ムスタング』のネタバレ感想・見どころ

ネタバレ有り

他人と関わる事が苦手な孤独な服役囚が、野生馬(ムスタング)の調教という刑務所内で行われている更生プログラムに参加し、徐々に心を開き人間性を取り戻して行く様子が丁寧に描かれています。

野生馬ムスタングの中でも極めて気性の荒い「マーキス」を調教する役目を負います。しかし、ローマン自身、馬の調教は初めての経験で上手く行くはずもありません。しかしながら、熱血漢の大ベテラン調教師や囚役仲間の的確な助言に従い、何度も失敗を繰り返しながら、お互い人馬の心が通い合う感動的な瞬間がやがて訪れます。

わたしも調教された馬での乗馬経験が何度かあります。馬はたいへんに賢い動物で、人間の言う事を良く聞く馬もいれば、まったく乗馬経験の無い素人の人間を瞬時に見抜き、完全に乗る人を小馬鹿にする馬もいます。指示とは違って逆走する馬もいるので始末が悪い。前の晩飲み過ぎて、二日酔いで体調が最悪の時乗った馬も大変へそ曲がりの一頭でした。踵で腹を蹴ってもまったく動こうとせずスタート地点でウロチョロしていたと思いきや、周囲の馬に連られ突如疾走を開始しました。わたしは、あわや落馬かとの恐怖が頭を掠め、必死に手綱を握りしめ馬にしがみついていました。肝っ玉が縮み上がった苦い経験があります。

ましてや、野生馬の取り扱い5週間という短い時間で調教を仕上げ、馬を販売に漕ぎつける事の困難さは想像も出来ません。

本作品、主人公ローマンのセリフは抑え気味です。実の娘との心の葛藤やマーキスとの”奮闘”の様子など確かに言葉は不要なのかも知れません。苦労を掛けた娘には何を話そうとまったく無駄でした…しかし、本編は映像が言葉以上に饒舌に真理を語り、見る人の感情に強く訴えかけてきます。(人馬の交流の)”達成感””充実感”を深く実感出来る素晴らしい作品だと思いました。

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