『ブロークン・フラワーズ』のネタバレ感想・見どころ
オフビートの真骨頂ビル・マーレイ(ドン役）の自然体の物憂げな演技が全編を通じて醸し出す雰囲気は何とも不思議。20年以上も前に付き合っていた”彼女”たちの現在の住所を丹念に調べ上げ、航空券・レンタカー・道路地図まで準備する用意周到さ、渋るドンを昔の”彼女”たちに遭いに行かせてしまいます。この超お節介焼きの隣人ジェフリー(工場勤務している）、こんな存在も有り得ないと思いました。
結局4人の女性を訪れています。しかしながら、誰がピンクの”ラブレター”をドンに送ったのか、最後まで皆目見当が付きませんでした。ピンクのタイプライターは最後の家の庭に転がっていましたが、暫く使用された形跡はありません…
ラストでは19才の少年、ドンの息子と同じ年頃と思われる青年がフラリと町に姿を現します。それが、彼の実際の息子であるという確証を得る事は出来ません。
本編はピンクの”ラブレター”（ドンには息子がいることを告白、この事を19年振りくらいに明らかにしています。差出人不詳）まるで犯人探しのロードムービーの様でもありましたが、本作の視点はどうやら別のところにあるような気がしました(差出人はもはや誰でもいい！？）
旅から戻り、結局何の収穫の得ることが出来なかった旅。そして、その後のドンの人生にも多分まったく影響を及ぼす事は無いかも知れません。また、2通目のピンクのレターは家出したジュリーからでした。また、彼女はまだ彼に気を引かれている様な内容でした。空白の20年間という、それぞれ縁の薄かった別れた4人の恋人の”時間”を少しだけ垣間見ることで、ドンは何か感じる事があったと思いますが、映画の中では上手く言葉で表現することはありませんでした。ドンの心の中を想像するしかありません…
『ブロークン・フラワーズ』あらすじと概要
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「デッドマン」のジム・ジャームッシュ監督、6年ぶりの新作長編。ビル・マーレイを主演に迎えて贈る哀愁漂うオフビート・コメディ。
かつては多くの女性と恋愛を楽しんだ元プレイボーイのドン・ジョンストン(ビル・マーレイ）は、コンピューター関連事業でひと財産を築き、中年となった現在は勝手気ままな独身生活を送る日々。彼の元に、差出人不明のピンクの手紙が届き「あなたの子供がもうすぐ19歳になる」と書かれていました。彼は20年前の交際相手を訪ねて回るのでしたが……。05年のカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞し、ジャームッシュ復活を印象づけた作品となっています。
2005年製作／106分／アメリカ
原題：Broken Flowers
『ブロークン・フラワーズ』スタッフとキャストについて
ジム・ジャームッシュ監督・脚本：
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ビル・マーレイ（ドン・ジョンストン）：コンピュータ・ビジネスで成功するも、現在は同居していたガールフレンドに愛想尽かしをされるような冴えない中年男。
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ジュリー・デルピー（ドンの恋人）：リチャード・リンクレイター監督作でイーサン・ホークと共演した「恋人までの距離（ディスタンス）」（95）が世界的にヒット、続編「ビフォア・サンセット」（04）では脚本にも参加しています。
ジェフリー・ライト(ドンの友人）：「007 カジノ・ロワイヤル」（06）からはジェームズ・ボンドの盟友でCIA捜査官のフェリックス・レイター役でシリーズに参加しています。
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シャローン・ストーン(昔の彼女１）：クローゼット・オーガナイザー。レーシング・ドライバーであった夫は事故死し、未亡人となっています。年頃の奔放な娘と二人暮らしをしています／80年ウディ・アレン監督「スター・ダスト・メモリー」で映画デビューしています
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フランセス・コンロイ(昔の彼女２）：1960年代にはフラワーチャイルドであった。現在は夫ロンと不動産業を営なみ、幸せな夫婦生活を送っています。／ウッディ・アレン監督作「マンハッタン」 （79）の端役で映画に初出演
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ジェシカ・ラング(昔の彼女３）：弁護士を辞めて、現在はアニマル・コミュニケーター(あらゆる動物交流が可能！？）ととして成功を収めています。
ティルダ・スウィントン(昔の彼女４）：荒れ地のボロ屋で生活している、グループの男性ににらまれドンは訳も分からず殴られて負傷してしまいます。
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