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おすすめ映画『クラッシュ』(2005/ポール・ハギス監督)感想‣信頼も思いやりも人種ではなく人間同士の問題だ!

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『クラッシュ』のネタバレ感想・見どころ

様々な人種と境遇の人々が織りなす群像劇。前半部分は殆んど脈絡の無い人々の間で発生する”事件””軋轢”などのエピソードの積み重ねで、暫し、頭の中が呆然として行きます。後半は、それぞれ無関係に思われたことが一つ一つ思わぬところで結び収束していくのかと思いきや、焦点は纏まり切れていないのではないかという終演でした。しかし、本編2時間という短い時間の中でLAで一晩の内に発生したありとあらゆる”ぶつかり”合いを描出していました。人種差別、偏見、軋轢、交通事故、それも白人、黒人、ヒスパニック、アジア系、アラブ、ペルシャ人すべてを入れ込み、それぞれの人種がお互いに対峙するという緊張感たっぷりの映像に仕上げており、これこそリアリティ溢れるLAの実態であろうと実感出来ます。表向きの対人関係の顔だけを描写するだけではなく、家庭に帰り父として、子として、夫としての立場として抱える問題をしっかり描く事、これによりストーリーが一層真実味を帯びる効果を発揮しています。

本編は最後にストーリーが収束していくという事は一切期待せず、7組のばらばらの群像劇を直視する事で現代社会で吾々が直面している”問題”を垣間見ることに、大いに意味があると思いました。

『クラッシュ』のあらすじと概要

「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本家ポール・ハギスが、脚本・製作に加えメガホンを取った長編初監督作。ロサンゼルスを舞台にさまざまな人種や境遇の人々が織りなす“衝突(クラッシュ)”の連鎖を描き、2006年・第78回アカデミー賞で作品賞・脚本賞・編集賞を受賞しています。クリスマス前のロサンゼルス。黒人刑事グラハムと同僚で恋人のリアは、韓国系女性の運転する車による追突事故に巻き込まれます。その前日、ペルシャ系の雑貨店主ファハドは護身用の銃を買おうとしますが、銃砲店で不当な扱いを受けています。白人の地方検事リックと妻ジーンは若い黒人男性2人組に車を強奪され、ジーンはマイノリティに対し差別的な態度をとります。白人警官ライアンは黒人のテレビディレクター・キャメロンとその妻が乗る車を強制的に停止させ、屈辱的な尋問を行います。ライアンの相棒トムはその行為に嫌悪感を抱きますが……何組もの人間関係のしがらみが”クラッシュ”、彼らの人生は思いがけない形で交錯し、大きく狂い始めることに…

2005年製作/112分/アメリカ
原題:Crash

『クラッシュ』のスタッフとキャストについて

ポール・ハギス監督:70年代から数々のTVシリーズの脚本を手がけています。クリント・イーストウッド監督作「ミリオンダラー・ベイビー」(04)脚本を手がけ、同作がアカデミー作品賞ほか主要4部門を受賞、自身も脚色賞にノミネートされて一挙に注目を集めています。同時期に監督・脚本を手がけていた群像劇である本作「クラッシュ」(05)で翌年のアカデミー作品賞、脚本賞を受賞しています。

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サンドラ・ブロック(ジーン):リックの妻。白人。黒人によるカージャックに遭ってから有色人種に対する偏見を募らせますが、階段から落ちた時、ヒスパニック系のメイドであるマリアに助けられます。

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ドン・チードル(グラハム):ロサンゼルス市警察の黒人刑事。白人刑事が黒人刑事を射殺した事件の担当者として、難しい決定を迫られます。年老いた母親との関係は少々ギクシャクしています。ピーターという名の弟がいます。

マット・ディロン(ライアン):勤続17年の白人巡査。職務に忠実ですが人種差別主義者であり、黒人に対する嫌がらせをしています。その反面、具合の悪い父親を一人で面倒を見ています。彼の父親は自分で事業を興し、黒人を雇って白人と同等の賃金を与えています。

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ジェニファー・エスポジート(リサ):グラハムのパートナーであり、恋人。ヒスパニック系。

ブレンダン・フレイザー(リック):白人のロサンゼルスの地方検事。アンソニーとピーターに車を奪われる。役職上有権者(特に黒人票)の目を常に気にしている。

テレンス・ハワード(キャメロン):黒人のテレビディレクター。これまでは周りに合わせて「いい人」として生きてきました。しかし、目の前で妻が白人の巡査にセクハラされ、仕事仲間に自分が黒人であると再認識されることを気にして何も出来ず自尊心を傷つけられています。そして、車を黒人一味に奪われそうになった時、とうとう堪忍袋の緒が切れる事に…

 

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