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おすすめ映画|『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』(2019/独・名匠ファティ・アキン監督)

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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのあらすじと概要

『女は二度決断する』(07年ゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞)『ソウル・キッチン』(08年)などで知られるドイツを代表する監督ファティ・アキンにより、70年代のドイツ・ハンブルグに実在した連続殺人鬼フリッツ・ホンカの事件を、徹底したリアリズムで描く衝撃作。20代の若手実力俳優であるヨナス・ダスラーが特殊メイクで40代のホンカを見事を演じているのも見もの。ダスラーはつい最近では『僕たちは希望という名の電車に乗った』(18年)にも出演している。

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1970年代のハンブルクに実在した5年間で4人の娼婦を殺害した連続殺人犯の日常を淡々と描くサスペンスホラー映画。第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごしたフリッツ・ホンカ。彼はハンブルクにある安アパートの屋根裏部屋に暮らし、夜になると寂しい男と女がさびしさ紛らわせるために集まるバー「ゴールデン・グローブ」(フリッツが女性に声を掛けていたバー。ドイツ・ハンブルクのザンクト・パウリ地区で今もこのお店は営業しているというから驚きだ)に足繁く通い、カウンターで酒をあおり、いつも泥酔していた。フリッツがカウンターに座る女に声をかけても、鼻は曲がり、歯はボロボロ、髪の毛は生え際が目立ち薄くなりかけている、極度の猫背でうだつの上がらない容姿のフリッツを相手にする女は誰もいなかった。フリッツは誰の目から見ても一見無害そうに見える男だったが、彼が店で出会った娼婦を次々と家に招き入れては、凄惨な事件に及んでいたことを、店主や常連客の誰ひとりも気づいてはいなかった。

 

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのネタバレ感想

ストーリーとテーマについて

薄汚れた安アパートのとても不潔極まりない屋根裏部屋に暮らし、被害者の遺体の一部を自宅の押し入れに隠していたことから部屋中に異臭が充満している有様、夜になると場末のバーに通って女性を物色、多量のアルコールに溺れて頻繁に生気を失い暴力的になり、もはや正常な判断をすることはできない。孤独な男の日常が淡々と描かれますが、ストーカーのような病的な妄想や、はけ口の無い異常性欲の強さ、更に殺人シーンでは精神異常者的な行動も倍加され、観客は突発的行動に走る殺人鬼の行く末を見せ付けられ、戦慄、驚愕、恐怖し、本当に目を背けたくなります。

また、被害者の女性がいずれも年増のかなり肥満な女性ばかりが選ばれているところもホンカの好みだったのかどうか良く分かりませんが、異常性を際立たせている様な気もします。アキン監督は本作品を『本当に妥協することなく作った』と断言していますが、、、

『決して簡単な判断ではありませんでしたが、ホンカの半生を描いた原作小説(著者ヘインズ・ストライク、ベストセラーとなる)をとても気に入っていたんです。ホンカは僕が生まれ育ったエリアに実在した殺人鬼で、今も彼が通ったバーがあり、ある意味ハンブルグについての映画。小説が自分に挑戦を突きつけているように感じました。果たして映画作家として、その知識や技術、度量の上で、この小説を映像化するだけの力を持っているだろうか? と。スポーツのように、どこまで跳躍できるのかその答えを自分で見てみたかった。僕のキャリアの中で、ターニングポイントになった作品です』と語っています。

『今までの作品は、資金面で妥協が必要でした。あとは、観客におもねるというわけではないけれど、関わっている人を傷つけないために妥協したり…自分自身がプロデューサーでもあるので、その視点で妥協せざるを得ないこともありました。そして、今回は本当に妥協することなく作った作品なので、これまでにない満足感がありました』と監督自ら100%満足の行く出来栄えであると絶賛する自信作であると。

演出と脚本について

アキン監督の言葉通り、”妥協をゆるさない”脚本、演出で観客は事件の凄惨さに度肝を抜かれるのではないか!また、度重ねる凄惨な犯行シーンに嫌気をさすと思います。このあたりの評価については観客人それぞれの判断でしょう。好きか嫌いか大きく分かれると気がします。

最近の映画『ジョーカー』『パラサイト』などでも取り上げられていますが、問題の原因はいずれも社会の底辺でもがく人々の苦悩が根本にあり、事件が誘発されています。しかしながら、本作品ホンカの連続殺人については社会、貧困問題がどうこういうよりも、やはりホンカ個人の精神の異常性が際立っていると思われます。また、実際彼は逮捕された後、服役することなく精神科病院に入院しており、退院に際して、当時の新聞には危険ではないかと書かれたと言われています。

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キャラクターとキャストについて

ファティ・アキン監督・脚本・プロデューサー:1973年ドイツハンブルグ出身、トルコからの移民の両親のもとに生まれる。俳優志望から監督の道へ転じ、ハンブルク造形芸術大学へ進学。「愛より強く」(04)で第54回ベルリン国際映画祭金熊賞、「そして、私たちは愛に帰る」(07)で第60回カンヌ国際映画祭最優秀脚本賞、「ソウル・キッチン」(09)で第66回ベネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞し、30代で世界3大映画祭の主要な賞を受賞している実力派監督。

ヨナス・ダスラー(ホンカ役):1996年3月生まれ、22歳、ドイツ・レムシャイト出身の俳優。
2014年にエルンスト・ブッシュ演劇大学に進学。初主演作「Lomo – The Language of Many Others(英題)」(17)と以下の『僕たちは希望という名の列車に乗った』(19)21歳とはとても思えない演技力を評価され、第39回バイエルン映画賞新人賞男優賞を受賞。舞台でも活躍中。

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まとめ

今日、映画館では驚いた事に若い女性二人組、或は女性のひとり客も散見され、正直少し驚きました。見る前も、見た後も正直な感想は余り女性には人気が出る映画とは思えない様な気がします。

確かにアキン監督自ら語る映画作りに対する妥協を一切許さない本気度は120%ヒシヒシと伝わってきますので、その点評価させてもらえればとわたしの採点は84点。次回作も是非期待したい!

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