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おすすめ映画『マザーレス・ブルックリン』(2019/エドワード・ノートン監督)感想‣1950年代ニューヨークの闇を描くアメリカンノワール

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『マザーレス・ブルックリン』のあらすじと概要

Jo WiggijoによるPixabayからの画像

エドワード・ノートンが「僕たちのアナ・バナナ」以来となる約19年ぶりの監督業に挑んだ作品。

1950年代のニューヨークを舞台に私立探偵が殺人事件の真相を追うアメリカンノワール。ノートンが監督のほか脚本、製作、主演“1人4役”も務めた。原作は米作家ジョナサン・レセムが1999年に発表し、全米批評家協会賞に輝いた同名小説。

元々孤児であり、孤児院から引き取られ、障害による突然の発作と言う持病を抱えながらも驚異的な記憶力を持つ優秀な私立探偵のライオネル・エスログ(エドワード・ノートン)の人生の恩人であり、唯一の友人でもあるボスのフランク・ミナ(ブルース・ウィルス)が何者かに殺害されます。事件の真相を探るべく、エスログがハーレムのジャズクラブ、ブルックリンのスラム街と大都会の闇に迫っていきます。

わずかな手掛かり、天性の勘、そして抜群の行動力を頼りに事件を追うエスログがたどり着いたのは、大都市開発にまつわる腐敗した街でもっとも危険と称される黒幕の男でした…

共演にはブルース・ウィリス、ググ・バサ=ロー、アレック・ボールドウィン、ウィレム・デフォーら錚々たるメンバーが顔を揃えます。

尚、中盤の白眉シーン、ジャズクラブでの演奏にはカリスマ的トランペット奏者のウィントン・マルサリスが参加。ムード満点、思わず映画一瞬忘れ、音楽に聞き入ってしまいそうになります。また、主題歌はノートンの長年の友人であるトム・ヨーク(レディオヘッド)が制作し、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)とコラボするなど、あまりにも豪華な陣容が劇伴を創出しています。

2019年製作/144分/アメリカ
原題:Motherless Brooklyn

ロッテントマト批評家支持率:64%

『マザーレス・ブルックリン』のスタッフとキャストについて

Free-PhotosによるPixabayからの画像

エドワード・ノートン監督・脚本・製作・主演:1996年、リチャード・ギア主演の「真実の行方」で映画デビューすると、いきなりアカデミー助演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞では映画部門の最優秀助演男優賞を受賞した。

傷害の発作によって突発的に「イフ!」と何度も奇声を発してしまうため、周囲からは奇人扱いされます。しかし、能力はその欠点を補って余りあり、超人的な記憶力を誇り、天性の勘と尋常ならざる行動力を駆使し、事件の真相に迫っていきます。

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ブルース・ウィルス(フランク・ミナ):高校卒業後、ニューヨークでバーテンダーをしながら音楽と演技を学ぶ。オフブロードウェイや映画の端役を経てTVドラマ「こちらブルームーン探偵社」(85~89)で注目を集め、大ヒット作「ダイ・ハード」(88)のジョン・マクレーン役でアクションスターの座を射止めた。同シリーズは「ダイ・ハード ラスト・デイ」(13)まで全5作で主演を務めている。

ググ・バサ=ロー(ローラ):英オックスフォード出身。

アレック・ボールドウィン(モーゼス):米・ニューヨーク出身。

野心的な悪徳都市開発者/役人。上長にあたる市長よりも強大な権力を握る。キャラ設定はドナルド・トランプを彷彿させる。

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『マザーレス・ブルックリン』のネタバレ感想

schliffによるPixabayからの画像

都市開発の名目で、強引に弱者から土地を取り上げても、良心の呵責をまったく感じない人物の存在が曲者でした。複雑に人間関係が絡み合っている為、構図がはっきりするまで多少のもやもや感がありましたが、作品の中で徐々に霧が晴れて行きました。ローラの出生の秘密も事件解決の重要なカギを握るポイントでした。また、全く似ていない(姿形から考え方まで)ポール、モーゼス兄弟の組み合わせというのも意外でした。

権力を掌握しているモーゼスが自分が法を犯してまで都市開発に拘ることは「”違法”でも何でもない、自分は法の先を走っている」という恐るべき発言をしていました。相当危険な発想と言わざるを得ませんが、権力を握ると盲目になってしまい、また、周囲からの苦言も聞く耳を持たない状況に陥ってしまうのかもしれません。

99年、原作を手に取ったノートンは、すぐに映画化の権利を取得しています。ほれ込んだ最大の理由は、物語の背景にある“都市開発”というテーマだったそうです。なんとなれば、彼の祖父であるジェームズ・ラウス氏は、都市開発に心血を注ぐ慈善家であったという背景もあります。そして、ノートン自身、祖父が構想し実現させた街(ワシントンDC郊外の都市コロンビア)で育ったという事実も関係していたようで、彼の心血を注いだ力作は見応え十分、且つ1950年代のニューヨークの雰囲気が感じされるセンスも光っていました。

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