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おすすめ映画『くじらびと』(2021/石川梵監督)感想‣手作り舟で命を懸けて巨大なマッコウクジラに挑むインドネシアの漁師を描く…

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『くじらびと』の概要

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インドネシア諸島・最西端の小島ラマレラ村で、伝統の捕鯨を400年間続けながら暮らす人々を捉えたドキュメンタリー映画。

インドネシアの小さな島にある人口1500人のラマレラ村。住民たちは互いの和を何よりも大切にし、自然の恵みに感謝の祈りを捧げ、言い伝えを守りながらほぼ自給自足の生活(物物交換の市場あり)生きています。

その中で、「ラマファ」と呼ばれるクジラの銛打ち漁師たちは最も尊敬される存在です。彼らは手造りの小さな舟と銛1本で、命を懸けて巨大なマッコウクジラに挑む姿を映し出しています。そして獲れた命は余すところなく村人全員で受け取り、言い伝え通り敬意を持って骨を海に返しています。村全体で年間10頭ほどのクジラが獲れれば、村人たちは生活していくことができるそうです。

2018年、ラマファのひとりであるベンジャミンが捕鯨中に命を落とした。人々が深い悲しみに暮れる中、舟造りの名人である父イグナシウスは家族の結束の象徴として、伝統の舟を作り直すことを決意。 1年後、彼らの舟はまだ見ぬクジラを目指して大海へと漕ぎ出します。

ライフワークとして30年間ラマレラ村の人々を追い続けてきた写真家・映像作家の石川梵監督が、2017年から19年までに撮影した映像を基に制作。自然とともに生きるラマレラ村の人々の日常に密着し、また、世界で初めてラマレラの鯨漁のドローンを活用した空撮および水中撮影風景を含め、丹念に繊細かつ臨場感あふれる美しい映像で描き出しています。

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『くじらびと』のスタッフとキャストについて

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石川梵監督:1960年生まれ、石川県出身。写真家、映画監督。フランス通信社(AFP通信)のカメラマンを経て、1990年よりフリーの写真家。伊勢神宮の取材を皮切りに、アジア、アフリカ、南米など世界各地で撮影を行い、大自然とともに生きる人々の祈りの世界の取材をライフワークとする。また、1990年のヒマラヤ空撮をきっかけに、地球46億年をモチーフとした世界の空撮を世界各地で行っている。

10代のころ、日本将棋連盟の奨励会に在籍し、棋士を目指していたという。

『くじらびと』の感想

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インドネシアのラマレラ島の美しい海の空撮から始まる映像が素晴らしく見入ってしまいました。ドローンが開発されたお陰で、以前は見られなかった様な美しい映像を我々は現地に行かなくても、簡単に見る事が出来ます。

400年間も営々と続けられている危険極まりない漁法には本当に驚きました。絶対あり得ない超貴重な映像だと思います。文字通り命懸の捕鯨の瞬間の映像が、見事に綺麗に捉えられたのも驚きます。空中から、漁船の中から、さらに海水の中からもしっかり捉えています。必死に抵抗するマッコウクジラの姿を見ると、小さな漁船は今にも海中に引き込まれそうに感じました。明らかに漁船に向かって頭を体当たりさせ、必死の抵抗を見せています。何本か鋭い太い銛を打ち込まれてしまう事で、海が血に染まる程の大出血が続き、やがて力尽き、止めを刺されてしまいます。

マッコウクジラも気の毒ですが、1500名の島民が生き残るためにはクジラを獲らなければなりません。

1500名ほどが暮す島ですが、年間10頭のクジラを捉えれば人々は食うに困らないというから驚きです。クジラは最後に海に帰される骨以外すべての部位を利用し尽くされる様です。『頭油』という脳内にある大量の油は食用・燃料油に使われる貴重な資源となっていました。クジラのどの部位は誰に分けるのか、伝統的なしきたりで決められている様でした。島民全員に分け隔てなく分け前が配られるというから「福祉国家」並です。

石川梵監督は本編を撮る以前、30年間に渡り伝統的な捕鯨の様子を写真に撮ってきたという物凄い執着心の持ち主です。また、島民と親密な交流と余程の深い信頼関係を構築しない限り、本作品の様な人々の心の中まで表現されたドキュメントは決して撮れないと感じました。

本当に貴重な映像の数々、素晴らしい映画でした。

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