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おすすめ本|『データリテラシー フェイクニュース時代を生き抜く』 M・ファクラ―著 (光文社新書)

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おすすめ本の紹介
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なぜ、「データ・リテラシー」を読んだのか?


Bruce EmmerlingによるPixabayからの画像

本書も毎日新聞土曜版書評欄で薦められていたので、購入して読んでみた。米国トランプ前大統領に関連して、頻繁に「フェイクニュース」という言葉が報道されていた事と、大統領自身のTwitterの発信はTVニュースでも伝えられることが多く、勿論わたし自身もそのTwitterを直接読む事が出来ることなど、身近なSNSを利用した様々な情報が溢れる時代に、我々はどのように対処し、正しい判断をしていくべきか、本書でその貴重なヒントが得られるのではないでしょうか。

ご参考 最近の新刊書関連投稿記事はこちら:

内戦と和平 現代戦争をどう終わらせるか 東大作著  

オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側 後藤逸郎著 レビュー

日中戦後外交秘史 1954年の奇跡 加藤徹、林振江著 レビュー

地磁気逆転と「チバ二アン」 地球の磁場は、なぜ逆転するのか 菅沼悠介著

知の旅は終わらない 僕が3万冊の本を読み100冊を書いて… 立花隆著

「データ・リテラシー」を読んだ概要・感想

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以下トピックスをピックアップしてみます。

従来のテレビ、新聞、ラジオと言ったマスメディアに加えて、最近はTwitter、Facebook、インスタグラム、lineというSNSが発展してきた。溢れた情報、真実と嘘が入り乱れた情報の渦の中で、我々は自らの主導権を握り、身を守る方策を考えなければならないと著者は説きます。読んだ情報を一方的に受け入れ、鵜呑みにすることは危険性であり、情報の本当の価値を見極める事は重要であると。

日本同様、一時米国の紙版NYタイムズは大幅に発行部数を減らしていましたが、主に二つの理由で急回復しているそうです。一つは、非常に使い勝手の良いスマホ用アプリを作り、紙だけではなくデジタル版のニュースの発信を開始した。二つ目はトランプ大統領への強い反発がある事。反発し、支持しない人々はトランプ大統領とは違った物の見方をするメディアを求めており、それが正にNYタイムズであったという。

一方、日本のメディアはデジタル化への対応は大幅に遅れており、日本経済新聞だけが多少はスマホ版の対応が進んでいる。他大手メディアは相変わらず紙版が主体になった対応になっており、部数減少に歯止めがかからない状況。

更に、日本のメディアの報道姿勢につき指摘しています。従来の新聞・TVといったオールドメディアの存在そのものが脅かされつつあり、保身の為益々保守的になり、リスクを冒さない傾向が強まっていると。それは、読者や視聴者が本当に知ろうとする情報を提供すべきなのに、記者クラブで得られる政府からの一方的な情報を単純に流す姿勢になっているので、これは改めなければならない。

日本の新聞各社が思い切ってスマホ版に軸足を変えられない背景としては、新聞紙配達制度を支えて来た全国の何万人もの新聞配達員を守る必要があることを指摘しています。

嘗てのアメリカでは、トランプ大統領のような乱暴な発言をすると大問題になったが、彼の登場で一国のリーダーが暴言を吐いても誰も驚かなくなってしまったと嘆いています。ソーシャルメディアに登場するトランプについての投稿は、一週間に4960万件にも達するという。勿論賛成もいれば、反対もいるますが、彼の支持者はトランプの利用するソーシャル・メディア戦略に扇動され、益々熱狂的に煽られることになっている。

これに負けていないのが、中国の情報戦略だという、詳細は是非本書で確認して欲しいのでここでは割愛します。

福島原発が事故を起こしました。それまで、政府発表の原発は絶対安全という神話が、虚構であった事を日本人全員が思い知ったのではないか。福島原発が今回爆破事故を起こす前にも、日本では度々原発関連施設で重大事故が発生していました。敦賀もんじゅの火災事故、東海村ICO核燃料加工施設での臨界事故で死者が出ています。また、他原発での定期点検時に原子炉が損傷していた事実を東電は隠し続けました。日本のジャーナリズムは、これまでに原発の安全神話を突き崩すことが全く出来ませんでした。マスコミは本当の事を知ってても、言えなかったと指摘しています。

今後これに対処する為の著者の提案は以下の通り:

情報リテラシーを向上させ、自分の力で判断を下す必要がある。基本的には1つの情報源ではダメで、少なくとも3,4の複数のメディアに目を通して比較検討する必要がある。ソーシャルメディア一辺倒になると、ただ流されるだけ、多くのモノの味方にはバイアスが掛かっている為、バランスを欠いたケースも有り得ると。そうならない為にも幅広く情報を仕入れる事は必須。

そして、重要なニュースに真っ先にアクセスする為には、グーグル、Facebook、ヤフーといったプラットフォームだけに頼ることなく、スマートファンアプリで直接読む事を勧めています。無料メディア・アクシオス、NYタイムズ、ファイナンシャル・タイムズ等々

更に、もう一つ重要なのが、複数の識者の発言をこまめにチェックすることを述べています。そういう識者のアカウントをフォローすれば、「この話題になっているテーマの本質はこうだという」視点が得られると。

著者は本書内で彼がフォローする極一部の日本論客20名のリストが掲されています。

重要な事は自分が賛同出来る意見を言う人ばかりではなく、色々な立場の人の意見を聞くことも重要であると指摘しています。

以上、トピックスを書き出してみました。米国人ジャーナリストながら、駐日経験も豊富であり、本当に日本人以上に日本の状況を勉強され、理解している感じました。言われる事はトランプ大統領のこき下ろしや中国への露わな対立感情は抜きにして、大半が賛同出来ることでした。これらヒントとして頂いた何点かは、則実行出来ることもあるので、少しずつやってみたいと思います。

わたしは未だに紙の新聞を読み続けていますが、そろそろ情報収集スタイルを変えてみたいと思います。

世間の一般的な意見はどんなものがある

tacskoooによるPixabayからの画像

以下、書評欄より何点か引用させて頂きます。総じて好評の意見が一般的でした。

トランプとNYタイムズとの対立は有名であるが、逆にトランプと対立しているが故にNYタイムズの購読者が増えているという。フェイクニュースに騙されず、伝統があり、信頼出来るメディアとしてNYタイムズを頼りにするアンチ・トランプ派が多いということであろう。フェイスブックやインスタグラムにフェイクニュースが溢れるようになったことから、ユーザーは直接信頼性の高いメディアにアクセスするようになったという傾向は今後、日本のメディアにとっても追い風となる可能性がある。

NYタイムズの発行部数が伸びている要因と、日本の新聞の発行部数が減少している原因をメディアの事例をもとに説明している。フェイクニュースを見抜くだけでなく、日本のメディアがいかにして復権するかやフェイクニュースによる悪影響なども事例を通じて記載している。
SNSが発達し、情報を受け取るだけでなく、発信する側にもなりうる。真偽問わず情報が溢れている昨今、自身を守るためにこの本を薦めたい。

同じ著者のおすすめの本はあるか?

grz3sによるPixabayからの画像

『「本当の事を」伝えない日本の新聞』(双葉新書)、『米国人ジャーナリストから見た日本の国難』(SB新書)などがあるので、これから是非読んでみたいと思います。

最後に

Geert PoelによるPixabayからの画像

巻末にフェークニュース問題を取り上げた映画9選のリストが記載されています。この問題を理解する為には映画〈ほとんどが事実に基づくストーリー)鑑賞が分かり易いのかもしてません。その内の一本は昨年公開されましたので、わたしの投稿記事を参考までに載せます。

リチャード・ジュエル 映画 レビュー


 

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