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世界文化遺産・富士山登山 ’疑惑’の初登頂記録!?

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旅の随筆
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頂上の鳥居(証拠写真)
雲海が広がる

2013年に世界文化遺産として登録された富士山ですが、まだ富士山登山が大ブームになる遥か以前に2回登りました。

初回は80年代前半です。大学時代の友人3名と金曜日の夜、会社退社後、東京丸の内に集合しました。夜半、東名高速を走り抜け、富士山5合目(須走口)に到着。しばし仮眠後、夜明け前に出発し、山頂でご来往を拝むという計画でした。わたし以外の2名は静岡県出身で、既になんどか登頂経験があるということなので、安心して同行させてもらいました。

午前3時過ぎ、登山開始予定時刻になり、眠い目をこすり身支度を初めると、他2名は「眠いのでもう少し寝てから行く。先に行ってくれ」と言うので仕方なく、「頂上で待っているから、早く追いかけて来いよ」と言い残し、先に独りで出発しました。5合目の天気は濃霧でまったく視界はききませんでした。

会社に入社後、レクレーション活動で山岳同行会に入会し、本格的な登山活動を開始していたこともあり、脚力にはかなりの自信がついていました。富士山登山は重いザック(通常は重いテント一式、食料などを運び上げる担当)も無く、軽装だったので足取りも軽く、快調に一気に駆け上がる事が出来ました。

途中の山小屋には一切立ち寄る事も無く、休憩も一切取らず、記憶が正しければ、9合5尺という位置に山小屋があったと思いますが、そこまで休まず登りました。さすがに標高も高く、3700㍍を過ぎたあたりから動機が激しくなり、やむを得ず、最初の休憩を、9合5尺の山小屋で取る事にしました。

飲料を補給し、ようやく呼吸が落ち着いたので、玄関の扉を開けて見ると、先ほどまで霧で見通しが効かず見えていませんでしたが、なんと頂上の鳥居がすぐ目と鼻の先に見えていました。もし、鳥居が見えていれば休まず、もうひと踏ん張りして、ノンストップで登っていたはずと思いました。

山頂は生憎雲が厚く、『ご来光』は見えませんでしたが、時々雲が開け、三河湾が一瞬見えるなど激しい雲の動きはありました。

その後、頂上で暫く待ちましたが、友人2名が追いかけて来る様子が無い為、頂上での集結を諦め、途中で会えれば良いと思い、下山を開始しました。

登りはある程度登山道に沿い登っていましたが、下山の際は登山コースを少し逸れ気味に、登山靴の踵を思いっきり突っ張り、大股の一歩で数メートルは砂を崩しながら滑り降りる”あら技“でかなり時間を短縮して下りました。 スキーの直下降のスタイルです(これは、あまりおすすめ出来ません。うっかり体のバランスを崩すと転倒の危険があります。それと落石を起こす原因にもなります)行き違う人の何人かから「何かの訓練をされてるの?」などと、かなり白い目でみられました。この直下降スタイルは絶対に真似しないでください!

あっという間に下山してしまいました。5合目駐車場の車まで戻ると、驚いた事に友人2名は車の中で熟睡していました。3時頃登り始めて、7時前に戻って来ました。往復4時間弱。

「登って来たぞ!待ってるから早く登って来いよぉ」と急かしました。すると、「今日は眠いので止めておくわ」という情けない返事が返ってきました。ふたりは「こんな短時間で本当に頂上まで往復出来るはずはない。怪しいものだ!」とわたしが頂上往復したことを全く信じてくれませんでした。多分、今でもわたしが、あの日頂上まで往復したことは信じていないと思います!

それにしても、富士山に登るつもりで、折角五合目行ったにも関わらず、眠いこと理由に駐車場で大いびき、そして、一歩も登らず帰って来る人がはたしているでしょうか?

2回目は、ノルウェーからの出張者(取引先社長)で、どうしても富士山に登りたいと希望されており、アテンドして登りました。春に登ろうとして出かけた時は7月の山開き以前だったので、5合目までの道路が、まだ封鎖されており断念しました。

仕方なく、急遽蓼科山登山に予定を変更、さらに八ヶ岳山麓の乗馬クラブで乗馬をして帰国して頂きました。 わたし自身初めての乗馬経験が出来たので、それはそれで大変有意義でした。なお、まったく余談ながら、わたしは学生時代剣道の経験があった為、乗馬の指導者から、乗馬の騎乗姿勢が良いと褒められ、中国で映画撮影があるが、人が足りないので、映画に出演する気はないかと、この時真面目に中国行きを誘われました。映画に対する興味はありましたが、入社したばかりの会社を辞めるわけに行かず、残念ながらお断りしました。

このノルウェー人はよっぽど、富士山登頂が諦められないらしく、同年、秋に再度訪日されました。
10月ころ、既に登山シーズンは終わっており、厳しい寒さだったのですが、幸い好天気に恵まれ、念願の登頂を果たすことが出来ました。

「おれは、ノルウェーのビジネスマンで最初に富士山に登った〜〜〜」と大変喜び叫んでいましたが、果たして本当にそうなのかよく分かりません。

富士山はたいへん大きな山で、砂と岩の混じった道をひたすら登る山です。決して登るのが楽しい山ではありません。また、北アルプスのような稜線歩きを楽しんだり、高山植物の広がるお花畑を眺めたりする事も出来ません。

登山の初心者の方が、いきなり富士山を登られ、山の楽しみを感じる事は出来ず、逆に登山とは、こんな苦しいものなのかと感じてしまう事が心配です。

富士山は登る山というよりは、やはり下から、あるいは遠方から眺める山ではないでしょうか! 富士吉田あたりから見上げる富士山の姿が本当に好きです!

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